FPGA で車載アプリケーションを高速化
FPGA の柔軟性とパフォーマンス効率が自動車業界と輸送業界を取り巻く環境を変え、モビリティにおける将来のイノベーションと、インフラストラクチャーの改善を推進する様子を紹介します。
自動車業界における FPGA テクノロジー
先進運転支援システム (ADAS) と車内体験 (IVE) の標準規格や要件の急速な進化に伴い、消費電力当たりの性能を高く維持しながら柔軟性の向上と開発サイクルの短縮を図るというニーズが、システム設計における一番の関心事になっています。再プログラム可能な FPGA を、拡大を続ける多彩な車載グレードの製品と組み合わせることで、エンジニアは開発要件を満たし、進化を続けるこの業界で常に一歩先を進むことができます。
自動車業界における FPGA の利点
効率的なリアルタイム処理
FPGA は、並列処理、低レイテンシー、カスタマイズ可能な設計により車載アプリケーションを強化し、センサーの融合化に適しています。FPGA は効率的なリアルタイムのデータ処理を可能にし、動的再構成によって消費電力を削減し、ADAS や自動運転などのシステムに必要不可欠なパフォーマンスと効率性のバランスを効果的に取ることができます。
安全性とセキュリティー
FPGA は低レイテンシー処理、機能的分離、冗長性を備えた、自動車の安全性とセキュリティーを保つための適合性に優れたハードウェアを提供します。カスタマイズ可能な暗号化とリアルタイム暗号化処理によりセキュリティーを強化し、システムの脅威に対する耐障害性を高めながら、長期的な保護のために ISO 26262 や ISO/SAE 21434 などの規格への準拠を保証します。
カスタマイズと スケーラビリティー
FPGA は、並列処理、低レイテンシー、カスタマイズ可能な設計により車載アプリケーションを強化し、センサーの融合化に適しています。FPGA は効率的なリアルタイムのデータ処理を可能にし、動的再構成によって消費電力を削減し、ADAS や自動運転などのシステムに必要不可欠なパフォーマンスと効率性のバランスを効果的に取ることができます。
将来性とイノベーション
FPGA テクノロジーの採用により、進化する規格と新しいテクノロジーをサポートすることで、自動車および輸送ソリューションの将来性を実現できます。5G 接続から AI を活用した分析まで、FPGA は自動運転、スマート・モビリティー、持続可能な輸送の取り組みにおいて継続的なイノベーションを可能にし、ダイナミックな市場における競争力と適合性を実現します。
自動車業界における AI の未来
AI は、自動車をよりスマートで、安全性、効率性、信頼性を高め、楽しく簡単に運転できるような、高度な機能を実現することにより、運転体験を変革しています。フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ (FPGA) および FPGA 搭載 SoC は、効率的なパフォーマンス、適応性、そして電力効率を実現できるため、AI 駆動型タスクを高速化するのに非常に適しています。Altera FPGA は、AI ワークロードを加速するため、ロジック・ファブリックに特殊な AI 機能を内蔵しています。従来の FPGA DSP ブロックに画期的な AI テンソルを追加することで、スケーラブルでリソースと電力効率の高い FPGA デバイスでの高性能なベクトル演算およびマトリクス演算による AI アプリケーションのサポートが可能になります。
センサー処理と融合
より安全かつ簡単に自動車を運転できるようにするため、自動車の周囲および運転席内に配置するカメラや、LiDAR、レーダー、モーションセンサーなど様々なタイプのセンサーが激増しています。Altera FPGA と SoC は、AI に必要な負荷の高い行列計算タスクを実行するために使用できる、専用の AI 対応デジタル信号プロセッサー (DSP) がロジック・ファブリック全体に組み込まれています。この AI 対応 DSP により、センサーのデータを非常に高速かつ効率的に処理そして融合できるようになるため、自動車の中枢で効率的に利用でき、自動車がよりスマートで安全になります。
運転者と同乗者の監視および音声制御
AI 対応 FPGA は、自動車内のカメラシステムとセンサーにより、運転者と同乗者を識別し、運転者の振る舞いや、同乗者の安全性と快適性を監視するために使用できます。AI を活用した運転行動の分析は、潜在的に危険な運転行動を運転者に警告し、潜在的な事故を予測して防止し、さらには自動車が衝突を回避する予防措置を取るためにも利用できます。また、AI を使用して非常に高速かつ高精度な AI 搭載の音声認識アルゴリズムを実装し、運転者と同乗者が車両と安全かつ簡単に対話が出来る様になります。
予測メンテナンス、診断、バッテリー管理
FPGA は、ローカルな AI 処理を促進し、車内のセンサー、電気システム、機械システムの継続的な監視を可能にして、故障を発生前に予測し、予防的メンテナンスや修理の必要性を車両所有者に警告する事が出来ます。また、バッテリーの健全性や充電状態をローカルで監視して、バッテリーの寿命を延ばすためにバッテリーセルの高度な管理やロードバランスを実行し、バッテリーのメンテナンスや交換の必要を減らせます。FPGA の AI 機能は、タイム・センシティブな検出や診断に必要不可欠であり、高速で正確な洞察が、自動車とそのバッテリーの信頼性を高め、寿命を延ばすことにつながります。
車載アプリケーション
先進運転支援システム (ADAS)
ADAS アプリケーションは、最先端のセンサー、リアルタイムのデータ処理、および自動化を統合して、運転者がより十分な情報に基づく意思決定を行い、事故のリスクを低減できるように支援することで、自動車の安全性と運転者の利便性を向上します。FPGA は、ADAS の実現に必要な計算能力、リアルタイムのパフォーマンス、柔軟性、および電力効率を提供しており、次世代の車載システム開発において不可欠なコンポーネントとなっています。
ソフトウェア定義型自動車 (SDV)
SDV への変革は、継続的な改善や、新しいテクノロジーとユーザーの要求への適応が可能な、自動車の運転にほぼ関するあらゆる側面を制御、管理、強化するソフトウェアにかかっています。絶えず進化し続けるソフトウェア中心の自動車プラットフォームをサポートするために必要な、再構成機能、高速処理、電力効率、そしてセキュリティーを備える FPGA は、この新しいアーキテクチャーに必要不可欠です。
電気自動車 (EV) パワートレイン
次世代のモビリティーの先駆けとなる EV パワートレインは、先進的なテクノロジーを統合して、電気エネルギーを効率的に変換、管理し、モーターの動作と電力配分の正確な制御を可能にしつつ、最適なパフォーマンス、レンジ、そして持続可能性を実現します。FPGA はリアルタイム制御、電力管理、再構成機能、安全性、および AI 統合を提供し、未来の電気自動車に向けたより効率性、信頼性、適応性の高いシステムにつながります。
高速 DC 充電器
輸送車両が電化されるにつれて、燃料消費から電気エネルギー消費、電力コンバーターの効率とコストに切り替わります。DC 急速充電 (DCFC) テクノロジーは、ステーション内で充電が完全に実行されるレベル 3 EV 充電ステーションで使用され、DC 電源を使用し、わずか 30 分で完全に EV を充電できます。
FPGA は、非常に高い周波数でカスタムデジタル制御を可能にする点でユニークです。受動コンポーネントのサイズとコストを削減し、AC/DC 電源変換で損失する電力を最小限に抑えるのに役立ちます。
FPGA は、バッテリー管理もサポートします。AC 電源による充電とは異なり、DC の高速充電は EV バッテリーに過負荷をかけるリスクがあり、経時的な劣化や航続距離の損失が発生します。FPGA は、全部のセルに負荷を均等に配分するために必要なコンピューティングを提供し、劣化の可能性を排除し、バッテリーに長寿命を提供することで、バッテリーと BMS をサポートします。
製品を参照して開始
当社の車載グレードデバイスは、-40°C ~ +125°C (一部のデバイスではそれ以上) の接合温度に対応しています。これらのデバイスは、ISO 9001:2001、AEC-Q100 規格、および ISO 26262 に適合しています。当社の車載グレードデバイスはすべて、IATF 16949 登録/認証済みの拠点で製造されており、業界最小水準で信頼性が極めて高い、主流の半導体製造プロセスのプログラマブル・ロジックを使用しています。当社の車載グレードのポートフォリオは、CPLD から FPGA に及ぶほか、SoC と電源管理向け PowerSoC も含んでいます。
Cyclone® V FPGA
Cyclone® V SoC FPGA
MAX® 10 FPGA
MAX® V FPGA
開発キット
よくある質問 (FAQ)
よくある質問
「ソフトウェア定義型自動車」すなわち SDV とは、運転を管理し、機能を追加するためにソフトウェアを使用し、またソフトウェアを通じて新しい機能を実現する車両のことです。Altera FPGA と SoC は、効率的で決定論的なパフォーマンスのハードウェアにより、多くの異なるタスクを同時に実行できるため、ソフトウェア定義型の自動車に最適です。さらに時と共に更新できるため、自動車メーカーは性能や効率を犠牲にすることなく機能を追加し、新しい機能を実現できます。言い換えると、Altera FPGA は、ハードウェア並みのパフォーマンスと決定性を備えつつ、ソフトウェアのような柔軟性とプログラマビリティーを提供するのです。
自動車をよりスマートで、安全性、効率性、信頼性を高め、もっと楽しく、運転しやすくするために、Altera FPGA と SoC の AI 機能をさまざまな方法で活用できます。より安全かつ簡単に自動車を運転できるようにするため、自動車の周囲および運転席内に配置するカメラや、LiDAR、レーダー、モーションセンサーなど様々なタイプのセンサーが激増しています。Altera FPGA と SoC は、AI に必要な負荷の高い行列計算タスクを実行するために使用できる、専用の AI 対応デジタル信号プロセッサー (DSP) がロジック・ファブリック全体に組み込まれています。この AI 対応 DSP により、センサーデータを非常に高速かつ効率的に処理、融合できるようになるため、車両がよりスマートかつ安全になります。運転行動を監視し、運転者と同乗者の安全性と快適性を高めるため、Altera FPGA と SoC の AI 機能は、車両内の運転者および同乗者モニタリング・システム (DMS および OMS) でも使用できます。また、AI を音声認識に使用して、運転者や同乗者が車両と安全かつ簡単にやりとりすることも、AI を車両の電気システム、機械システムの監視に使用して、メンテナンスや修理の必要性を予測することもできます。
小型で効率的な CPLD から、車載用途に適した高性能 FPGA および SoC まで、Altera はさまざまなデバイスを提供しています。インテルの車載グレードデバイスはすべて AEC-Q100 認証を受けており、-40°C ~ +105°C の周囲温度 (車載グレード 2) で動作できることが認定されています。この範囲は、車両が幅広い温度条件下で動作する、インフォテインメントおよび ADAS アプリケーションの大部分に対応しています。さらに、これらのデバイスの多くは、ISO 26262 に従って ASIL 認証を受けています。
はい。Altera は、IO26262 に従って ASIL 認証を受けたデバイスとツールの両方を提供しており、Altera 開発プロセスに従っているため、セーフティークリティカルな車載システムでデバイスを使用できます。さらに Altera は、セーフティークリティカルなシステムに組み込む Altera 製品の設計を容易にするため、ASIL 認証を受けた開発ツールとオートモーティブ・ファンクショナル・セーフティー・データ・パッケージ (AFSDP) を提供しています。
車載グレード・デバイス・ハンドブック (PDF) には、入手可能な車載グレード・デバイスの全リストが掲載されています。詳細は、各デバイスファミリーのデータシート / ハンドブックを参照してください
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