フォトニクスの時代
私たちは今、技術革命の真っ只中にいます。人工知能 (AI)、エッジツークラウド、5G、モノのインターネット (IoT) など、インダストリー 4.0 テクノロジーは、厳格なキャプチャー、プロセシング、分析を必要とする膨大なデータの波をまとめて生成しています。研究者が情報を伝達することを目標に光の性質とアプリケーションを研究するフォトニクスの分野は、そのようなデータ要件を処理する実行可能なソリューションを提供します。
実際、フォトニック・デバイスは、いくつかの場合における電子デバイスと比較した際の利点により、ユビキタスになりつつあります。フォトニック・デバイスは、通信、医学、天体物理学、コンピューティングなどの用途で、現在重要になっています。具体的には、フォトニック・コンポーネントは、光ファイバー通信、創薬、遺伝分析、量子コンピューティングで見られます。
「すべてのフォトンが重要である」
浜松ホトニクス株式会社は、1953 年に設立され、光ベースのテクノロジーのリーダー的存在です。パフォーマンス、感度、精度が肝心な産業および科学用途で広く普及している浜松ホトニクス製品には、光電子増倍管、画像デバイス、光源、オプト半導体、画像システム、分析システムがあります。
最近、エンジニアリング視点では特に困難である超低光量測定のキャプチャーに成功しました。すべてのフォトンが重要になる科学的用途がありますが、ほとんどの従来の電子デバイスは、キャプチャーされたフォトンと検出に使用されるセンサー間のシームレスな相互作用をサポートしていません。浜松ホトニクスは、最新の ORCA-Quest カメラでこの問題を解決しました。
ハイパフォーマンスかつローコストを目指し、浜松ホトニクスは、ORCA-Quest 科学カメラを新しい X 線食品検査カメラと共に開発しました。従来のプロセッサーでは対応できない広範なデジタル信号プロセシング (DSP) を要求する浜松ホトニクスのカメラは、センサーによって生成された実質的なデータを処理するために、非常に高い帯域幅を必要とします。
浜松ホトニクスは、以下のいくつかの利点を提供する、アルテラ FPGA による独自のソリューションに目を向けました。
- ソフトウェアベースのプロセッサーよりも桁違い高いパフォーマンスを実現する豊富な DSP リソースで構成されていること。
- 振れ幅が極端な帯域幅需要にも対応できる柔軟で構成可能なマルチギガビットのトランシーバー I/O のバンクを搭載していたこと。
- FPGA ロジック・ファブリックの柔軟性により、多くのシステム機能を単一のデバイスに統合し、コスト、プリント回路ボード (PCB) スペース、消費電力の削減が実現できること。
ORCA-Quest 科学カメラ
科学カメラは、物理学およびライフサイエンス用途の超低ノイズ、高感度の要件を満たします。量子コンピューティング、天体画像、細胞画像、創薬用途によく使用されます。浜松ホトニクスは、30 年の研究経験を活かし、新しい ORCA-Quest qCMOS 科学カメラを開発しました。このカメラは、各ピクセルに存在する光電子をカウントするフォトン数分解を初めて実現しました。フォトン数分解はノイズ・パフォーマンスの影響を大きく受けるため、浜松ホトニクスは、0.27 電子 rms という超低読み出しノイズの実現に取り組みました。
優れた低ノイズ・パフォーマンスと量的測定機能に加えて、ORCA-Quest qCMOSは、次の機能を備えています。
- 高い量子効率 (475nmで 90%)
- 高解像度 (9.4 メガピクセル)
- 高速フレームレート (120 FPS)
ORCA-Quest システムでは、アルテラ FPGA が独自の画像プロセシングを実行して、センサー内のピクセル変動を修正し、ピクセルごとの光電子換算の出力データをフォトンに変換します。ここで注目すべきは、画像センサーは、最小レイテンシーでリアルタイムでのプロセシングとトランスミッションを必要とする一方で、18 Gbps 以上の速度でデータを生成することです。
インテル® Arria® 10 GX FPGA 搭載の ORCA-Quest
浜松ホトニクスのハイパフォーマンスなセンサーとインテル® Arria® 10 GX FPGA が提供する高速プロセシングの組み合わせにより、ORCA-Quest は超低ノイズ・パフォーマンスとフォトン数分解の両方の実現を可能にします。
コストとパフォーマンスのバランスに優れたインテル® Arria® 10 GX を選択
画像プロセシングを実装して、センサーのパフォーマンスを最大化
- リッチな DSP、メモリーリソース、HW メモリー・コントローラーの活用
- リアルタイムで 18 Gbps データの画像プロセンシング
センサー制御とデータ取得
- インテルの柔軟で構成可能な I/O バンクと LVDS SerDes IP コアを活用
CoaXPress インターフェイスを使用してデータを転送
- トランシーバー I/O を活用 (6.25Gbps x4)
ファームウェアの活用
- Nios® II エンベデッド・プロセッサーを利用して、ロジックを制御
X 線食品検査カメラ
浜松ホトニクスの新しい X 線食品検査カメラは、アルテラ FPGA テクノロジーも活用しています。食品検査カメラは、通常、食品容器内の金属、ガラス、プラスチックなどの異物を検出するために使用されます。また、品質検査中に、食品のパッケージの一部が損傷、クラック、欠損しているかどうかを確認するために使用されます。
通常、食品検査は、特定の厚さの低コントラストの対象物を検査するための高価な専用マシン、またはよりコストの低い再利用の X 線マシンを使用して行われます。浜松ホトニクスは、これらの 2 つの選択肢の最高の特性を組み合わせることで、競争力のあるコスト、サイズ、パフォーマンス、ライフサイクルを実現した新しいマシンを開発しました。
浜松ホトニクスは、コスト・パフォーマンスのバランスをとりつつ、目的の仕様を満たすために、インテル® Arria® 10 GX とインテル® Cyclone® 10 FPGA を食品検査システム内で組み合わせました。データ取得中に複数のセンサーを制御することが主な優先事項だったので、多くの構成可能な I/O バンクが必要でした。パフォーマンスを最大化するために、信号チェーン内のセンサーのすぐ近くで画像を処理することにしました。
浜松ホトニクスは、メモリー・コントローラー、インターコネクト IP、Nios® ソフト・プロセッサーを含む、豊富なアルテラ FPGA IP ポートフォリオを活用し、最終製品のライフサイクルを長くするため、製品ライフサイクルについても考慮しました。
FPGA がフォトニクスの需要を満たす
社会を急速に変化させている現代のテクノロジーは、世界中のあらゆる人々の生活に、直接的および間接的に影響を与えています。世界的なパフォーマンス向上に対する需要は、エンジニアリング・チームに現場レベルでの拡張性と柔軟性を備えた、将来まで使用可能な設計の実現を求めています。
特にフォトニクスの分野では、性能を向上させるのに、複雑な信号プロセシングを必要とするため、豊富なカスタム・ロジック・リソース、構成可能なハイパフォーマンス I/O、システム内の再構成性を提供するアルテラ FPGAは、柔軟性と迅速な市場投入を維持しながら、目標パフォーマンスを達成するのに最適といえます。
長期的な関係
浜松ホトニクスは、フィールドリサーチ、製造、その他のユースケースにおいて、インテルや株式会社マクニカなどの信頼できるパートナーと連携して、過酷な環境に耐える製品を開発しています。長らくアルテラ FPGA を活用した製品を製造している浜松ホトニクスは、高品質で長いライフサイクルを持つ FPGA を製造してきたインテルや綿密な技術および商業的サポートを提供するマクニカを重要なパートナーとして厚い信頼を寄せています。
詳細情報
インテル製品およびソリューションの詳細については、次のページをご覧ください。
- マシンビジョンにおける FPGA、コンピューター・ビジョン - アルテラ FPGA
- インテル®FPGA およびプログラマブル・デバイス - アルテラ FPGA
- 浜松ホトニクス ORCA-Quest qCMOS カメラのカタログ