ファーストパーソン・シューティングゲーム、プラットフォーマー、そして格闘ゲームにおいては、タイミングがすべてです。数ミリ秒の遅延のせいで、完璧な射撃チャンスを失う、奈落の底に落ちる、決定的なコンボをミスするということもあります。
入力遅延が起こると、キーボードやゲームパッドのコマンドが遅れているように感じます。そうなれば完璧なタイミングなどほぼ不可能です。最悪の場合、この現象によりペースの速いゲームが全くプレイできなくなることもあります。
これは特に、素早い反射神経と一瞬の意思決定に頼る対戦ゲームに当てはまります。ただし、それよりペースの遅い戦略ゲームやターン制のゲームでも、あなたの行動と画面の反応との間に目に付く遅れがある場合は没入感が損なわれます。
この遅れは、入力遅延またはレイテンシーと呼ばれます。ハードウェアやソフトウェアの構成の誤りによっては、入力遅延が大幅に増大する場合もあります。構成の誤りを特定してそれを修正すれば、通常は遅延が気にならないレベルにまで低下します。
入力遅延とは何か?
システムを構成するどのデジタルデバイスでも、データを処理する際に一定のレイテンシーが加わります。ボタンを押すと、入力デバイスは信号を PC に送信し、PC はその信号を処理して、その結果をディスプレイに送信します。これらのステップは、それぞれ完了までに何ミリ秒かかかります。
入力遅延は、特定のハードウェアおよびソフトウェアの構成に関連しているため、オフラインのシングルプレーヤー環境でもマルチプレイヤー環境でも発生します。これは、ゲーマーがよくオンラインで直面するような、ネットワークの遅延やその他の接続性の問題とは異なるということに注意しましょう。
プロの対戦ゲーマーは、入力遅延を 15 ミリ秒未満に維持しようと努めます。カジュアルゲーマーやエンスージアストの場合は、たいてい 40 ミリ秒未満のレイテンシーで満足します。これが 50 ミリ秒を超えると、遅延が気になるようになります。ディスプレイの入力遅延が 70 ミリ秒を超えると、一部のレビュアーはパフォーマンスを貧弱と分類します。
入力遅延は複数のデバイスで発生する可能性があります。ハードウェア・キーボードやコントローラーが不具合を起こすことは稀ですが、その可能性を排除することはできません。遅延の原因としてもっと多いのは、ゲームエンジンによるコマンドの処理が、モニターが表示できるよりも早いという場合です。
プレイしているゲームで入力遅延が発生している場合、その問題について判断するためにさまざまなことを行えます。入力遅延を防ぐためにできるいくつかの方法をご紹介しましょう。
まずは V-Sync をオフにする
V-Sync は、画面のティアリングを防ぐテクノロジーです。入力遅延の原因を特定する際、原因としてよく疑われるものでもあります。
ゲームエンジンによるモニターへのフレーム送信が早すぎる場合、定期的に画面が水平にずれるように見えることがあります。V-Sync は、ゲームエンジンをモニターのリフレッシュ・レートと同期するよう強制することでこの問題を解決します。
しかし、V-Sync は CPU が入力コマンドを処理する速さには影響を与えません。モニターが表示を更新するよりも早くコマンドを送信すると、目につく遅延が発生します。これは、入力遅延の最も一般的な原因の 1 つです。
これを解決できる方法はいくつかあります。現在でも多くのゲームが V-Sync のメリットを活用していますが、これは古いテクノロジーです。インテル® Adaptive Sync などの新たなソリューションなら、目に付くような入力遅延を発生させることなく画面のティアリングを防げます。ただし、Adaptive Sync に対応していないモニターもあるので、対応の有無についてはメーカーの仕様を確認してください。
ほとんどの PC ゲームでは、ビデオ設定に V-Sync のオプションがあり、デフォルトで有効になっていることがあります。可能であればゲーム内の設定で V-Sync を無効にし、Adaptive Sync を使ってみてください。
表示設定を確認する
モニターの表示設定が、入力コマンドと表示結果との間での遅延を増加させている場合があります。表示設定には、変更可能なものも、ハードウェアに組み込まれていて変更不可能なものもあります。
まず調べるべきなのは、モニターのリフレッシュ・レートです。リフレッシュ・レートが高ければ、モニターが 1 秒間に表示できるフレームの数が増えます。1 秒間に表示するフレームが多ければ多いほど、入力コマンドとその結果を画面に表示する間隔が短くなり、入力遅延を貴重な数ミリ秒ぶん減らすことができます。
次に、PC とディスプレイの接続方法を確認します。ワイヤレス・ディスプレイは、有線よりもレイテンシーが大きくなります。特に、高解像度のディスプレイ設定において顕著です。ワイヤレス・ディスプレイを使用している場合は、可能であれば有線接続に切り替えてみてください。
すべての有線接続で同じような応答時間のメリットが得られるわけではありません。一部のディスプレイ (特にスマート TV) では、AV 入力にビジュアル・ノイズ・リダクションなどの処理効果を付加し、それによりレイテンシーも増加します。これを回避するには、映像信号の処理をせずに入力遅延を最小化する「ゲームモード」がお使いの TV にあるかどうかを確認してください。
どの TV やモニターでも、ハードウェアにより定まる独自の入力遅延が存在することを覚えておきましょう。これは、ディスプレイが入力されたデータを受信し、処理し、表示するためにかかる時間です。これは画面のハードウェアに依存するものであり、変更することはできません。
一般的に、メーカーは製品の機械的遅延については宣伝しません。その代わりに、「応答時間」を重視します。これは、各ピクセルが色を変更するためにかかる時間を測定したものです。この 2 つは混同しやすいのですが、応答時間は入力遅延に大きな影響を与えません。
新しいゲーム対応ディスプレイの多くでは、入力遅延は 10~15 ミリ秒です。モニターの入力遅延スコアを計測して、その一覧を示している第三者のウェブサイトがあるので、機械的な入力遅延がどれくらいかを確認できます。
入力デバイスをテストする
コントローラーやキーボードは、ハードウェアのエラーにより遅延を起こす可能性がありますが、これは一般的ではありません。デバイスが原因であるかどうかを簡単に確認するには、入力デバイスを換えてみることです。別のキーボード、マウス、ゲームパッドなどを接続しても入力遅延が同じように起こる場合は、問題は別のところにあります。
ワイヤレス接続は通常、有線接続よりもレイテンシーが増加するのは事実です。ワイヤレスのゲーム用ハードウェアはほとんどが低レイテンシー用途に設計されていますが、バッテリーの低下や接続の不安定などにより遅延が増加することもあります。最新のハードウェアのほとんどでは、ワイヤレスと有線接続との差異は気付かない程度のものです。
FPS 設定を最適化する
PC が送信する 1 秒あたりのフレーム数を変更すると、入力遅延を減らすのに大いに役立つことがあります。2 つの主なアプローチを試すことが可能です。
- フレームレートを制限する。まず、フレームレートをディスプレイのリフレッシュ・レートよりも少し下に制限してみてください。
- 高いフレームレートを試す。次に、ゲームのフレームレートを、モニターのリフレッシュ・レートの 2 倍またはそれ以上に上げてみます。これにより、入力遅延はわずかですが気付く程度に改善されることになるはずです。
例えば、一般的な PC 用モニターのリフレッシュ・レートは 60Hz です。入力遅延が起きている場合、ゲームのフレームレートを 59 フレーム毎秒に抑えてみてください。これで問題が解決しない場合は、フレームレートを 120 フレーム毎秒またはそれ以上に上げてみます。
後者の方法では、特に要求の厳しいゲームにおいて、グラフィックス・プロセッサーに大きな負荷がかかります。しかし、入力遅延を解決し、スムーズでシームレスなゲームを味わえる可能性はより大きくなります。
もっと高いフレームレートが欲しい場合は、かつてない高性能ハイブリッド設計の最新のインテル® Core™ プロセッサーを搭載したシステムで能力を引き上げましょう。
ゲーム用 PC に最適な周辺機器を選ぶ
最後に、最新のゲームを実行するには、強力なプロセッサーの他にも多くのものが 必要です。PC に接続する周辺機器には、それぞれ役割があります。ゲーム対応キーボード、ゲームパッド、ディスプレイは、スムーズで高速なパフォーマンスを実現し、負荷の高いゲームタイトルに最適です。これらのデバイスを構成する方法によって、システムの全体的な入力遅延が数ミリ秒増減することがあります。
周辺機種の中でも最重要なものはモニターです。適切なモニターを選ぶことは、入力遅延を最小限に抑えつつ、CPU とグラフィックス・カードを最大限に活用するために役立ちます。あなたのシステムに最適なゲーム用モニターを選ぶ方法については、総合ガイドでご確認ください。