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インテル® クイックアシスト・テクノロジー (インテル® QAT) で圧縮を高速化

データ圧縮と対称および非対称暗号化を高速化して、それらのコンピューティング集約型のタスクをオフロードし、CPU の効率とパフォーマンスの向上とデータ・フットプリントの削減を実現できます。

インテル® QAT を選ぶ理由

  • インテル® QAT は、クラウド、データセンター、ネットワーク、大規模なデータレイク、データベース、およびストレージ階層において、一般的なワークロードのパフォーマンス、効率性、スケーラビリティーを向上します。

  • インテル® QAT は、インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーに内蔵されており、データ圧縮とデータ暗号化の機能を高速化し、それらを CPU コアからオフロードします。

  • インテル® QAT は、データ圧縮や対称および非対称データの暗号化など、ビジネスに不可欠なワークロードにおいて、コンピューティングの電力とリソースを大幅に節約します。

インテル® クイック・アシスト・テクノロジー (インテル® QAT) とは?

インテル® QAT は、インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーに搭載された統合ワークロード・アクセラレーション機能であり、AI、分析、アプリケーションとコンテンツ配信、高速ネットワークなど、コンピューティング集約型のプロセスにおいてパフォーマンスの向上と効率の改善を実現するよう専用に設計されています。

データセットが指数関数的に拡張し続ける中で、これらの高度なユースケースには、より多くのリソースとより高いパフォーマンスが必要です。このような負荷の高いワークロードは、運用をサポートし、使用中、移動中、および保管中のデータの整合性を保護するためのデータ圧縮と解凍、暗号化、パブリックキーの暗号化などへのニーズを増大させます。

圧縮と暗号化により、大規模なファイルと高度なアプリケーションを処理することが可能になりますが、そうしたプロセス自体が、大量のコンピューティング・リソースを消費します。

インテル® QAT は、これらのコンピューティング集約的な操作を CPU コアからオフロードし、CPU がその他のタスクをより効率的に実行できるようにして、全体的なシステム・パフォーマンス、効率、消費電力の向上を実現します。

インテル® QAT は、ワークロード・パフォーマンスを向上して、今日のデータ集約型でネットワーク依存型のワークロードの需要を満たし、システムが低いデータ・フットプリントと高いパフォーマンスでより多くの顧客にサービスを提供できるよう支援します。インテル® QAT は、データ圧縮、さらに対称および非対称データの暗号化と復号化向けに、大幅なアクセラレーションを提供できます。

インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーのインテル® QAT

インテル® QAT は、E-cores 搭載の第 4 世代インテル® Xeon® プロセッサー、第 5 世代インテル® Xeon® プロセッサー、インテル® Xeon® 6 プロセッサーに内蔵アクセラレーターとして搭載されており、現在急速に増加しているワークロード全体でパフォーマンスを向上させ、データを保護します。 ほかの特定の内蔵アクセラレーターと共に、インテル® QAT は、HPC、アナリティクス、ネットワーク、およびストレージのワークロード向けのインテル® アクセラレーター・エンジンの主要なコンポーネントです。

ビジネス成果を促進するインテル® QAT の利点

インテル® QAT は、クラウド、データセンター、ネットワーク、大規模データレイク、およびストレージ階層向けに新たな効率とスケーラビリティーを支援します。

  • CPU パフォーマンスと効率の向上: インテル® QAT は、CPU コアからコンピューティング集約型の圧縮および解凍の操作をオフロードし、CPU 効率を向上して全体的なシステム・パフォーマンスを改善します。インテル® QAT は、CPU 自体に組込まれているため、アクセラレーター非搭載のデバイスよりも、暗号化されたクライアント接続とコンテンツ配信を適切にサポートします。インテル® QAT は、インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーまたはシステム・オン・チップ (SoC) インテル® Xeon® D プロセッサーでサポートされています。 内蔵のインテル® QAT を用いるインテル® Xeon® Platinum 8592+ プロセッサーは、デフォルトの圧縮を用いる第 4 世代 AMD EPYC 9554 と比較して、SQL Server 22 上でワット当たりパフォーマンスが最大 1.64 倍優れます。1
  • 総保有コスト (TCO) の削減: インテル® QAT は、既存のハードウェアで暗号化および復号化、パブリックキーの暗号化、およびデータ圧縮のワークロードを高速化し、ワット当たり最高水準のパフォーマンスにより電力効率を向上させることにより、TCO を削減します。
    インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ベースのシステムは、インテル® QAT により、パフォーマンスと効率を大幅に改善できます。さらに、同じ成果を達成するために必要なコア数が少なく、データ・フットプリントの低減と消費電力の大幅な削減を実現します。
  • スケーラブル・ソリューションのサポート: インテル® QAT は、さまざまな製品やパッケージ構成全体でインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーに統合されており、そのアクセラレーション機能は、幅広いソリューション向けに高い可用性と拡張性を備えています。一部のインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーは、1 つの CPU に最大 4 つのインテル® QAT アクセラレーターを備えた構成が可能です。

インテル® QAT のユースケース

インテル® QAT により最も恩恵を受けることができるユースケースとユーザーには、クラウドサービス、エンタープライズ・データセンター、ストレージ、ネットワークが含まれます。

クラウド・サービス・プロバイダー

クラウド・サービス・プロバイダー (CSP) は、インテル® QAT を使用して、既存のインフラストラクチャーをより活用し、CPU のフットプリントを削減して、顧客により多くの価値を提供できます。インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーに搭載されたインテル® QAT は、大規模なデータ圧縮とデータ暗号化を実現して、コンテンツ配信ネットワーク (CDN)、ロードバランサー、ゲートウェイ、およびマイクロサービスをサポートします。CSP は、CDN を遅延させる分散型サービス拒否 (DDoS) 攻撃を回避するために必要な、高性能なガードバンドを提供しながら、より多くのユーザーにサービスを提供できます。

インテル® QAT の圧縮は、圧縮サービスにより、ストレージ、データベース、ビッグデータ、または CDN 向けに効率を発揮します。インテル® QAT の圧縮効率は、一般的なデータが豊富なアプリケーションに、高いパフォーマンスと大幅な消費電力の削減をもたらします。

エンタープライズ

エンタープライズ・クラスの組織は、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャー (HCI) とウェブ・アプリケーションを導入すると、ウェブサーバーの容量とパフォーマンスの向上のおかげで、より効率的に運用し、コストを削減できます。

パフォーマンスの向上により、エンタープライズ・システムは、高性能なパブリックキーの暗号化を使用してコンテンツをより迅速に提供し、より多くのクライアントとユーザーをコンテンツにつなげ、ウェブ・アプリケーションのロード時間と応答性を改善できます。

インテルは、エンタープライズ分野のエコシステム・パートナーと協力して、ビジネスに不可欠なアプリケーションとユースケースにおけるパフォーマンスを向上します。例えば、Red Hat は、Enterprise Linux プラットフォームをインテル® QAT 向けに最適化しています。その結果ソフトウェア・ベースの圧縮よりもハードウェア・アクセラレーションによる圧縮は、 9 倍から 137 倍高速になるのが認められました。2インテル® QAT は、CPU コアからの要求をオフロードし、より多くの CPU サイクルをほかのコンピューティング・タスクに使用できます。

インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーに搭載されるインテル® QAT は、アクティブ化されると、インテル® QAT を搭載しない同様のシステムと比べて、より少ないコアで大幅に優れたパフォーマンスを発揮します。

ストレージ

組織は、インテル® QAT を活用して、ストレージ・アーキテクチャーにおける TCO と電力消費を削減し、同時にパフォーマンスに対して増大する需要を満たすことができます。データ圧縮と解凍のタスクは、インテル® QAT により、バックアップを実行し、アプリケーション・データまたは分散ストレージシステムとデータレイク向けにアーカイブに保存する際に、より高速に完了することができます。

例えば、Microsoft は、インテル® QAT がバックアップ・ファイルの圧縮と解凍を加速するとしていますMicrosoft SQL Server 2022 のワークロードを同時に実行する間に。3それは、コンピューティング・パワーを必要とするバックアップ・プロセスの CPU コアからのオフロードによります。 内蔵のインテル® QAT を用いる第 5 世代インテル® Xeon® Platinum 8592+ プロセッサーは、デフォルトの圧縮を用いる第 3 世代インテル® Xeon® Platinum 8380 プロセッサーと比較して、Microsoft SQL Server とバックアップのパフォーマンスが最大で 2.56 倍の向上を見せます。4

インテル® QAT がサポートする新しい Zstandard 圧縮アルゴリズムでも、より高い効率を実現できます。例えば、Meta とインテルは、インテル® QAT の Zstandard パイプラインへの採用で、ワット当たりのスループットとパフォーマンスにおいて大幅な向上を実現しました。5

ネットワーク・エッジとコア

インテル® QAT は、ネットワーク・トラフィックの暗号化と復号化を高速化し、インテル® QAT がない場合に必要とされるよりも少ないコアを使用して、仮想プライベート・ネットワーク、ロードバランサー、コンテンツ配信ネットワーク、およびウェブサーバー向けのパフォーマンスを向上できます。

インテル® QAT は、サービスメッシュから必要とされる追加の容量をサポートして、ユーザープレーン入力に対応します。この追加的な支援は、組織が厳しいサービスレベル契約 (SLA) を満たし、同時に 5G 制御プレーンにおける電力消費を管理するのに役立ちます。ネットワークに特化したユースケースでは、さまざまなワークロード向けのインテル® QAT の利点を紹介しています。

インテル® QAT を始める

インテルは、アプリケーション固有のドライバー、コード・ライブラリー、ソフトウェア・ツール、その他のリソースを提供し、ソリューション・アーキテクトと開発者がインテル® QAT を最大限に活用できるよう支援しています。

ステップ 1: システムデザインを評価

ストレージ、ビッグデータ、データベース、あるいはその他のデータ集約型機能における圧縮と解凍の効率に対するニーズを分析することから開始します。また、クラウド・セキュリティー、VPN とファイアウォール、SD-WAN、あるいはコンテンツ配信向けの TLS、QUIC、IPsec、または WireGuard などの暗号、ハッシュ、パブリックキー・データ暗号化のアクセラレーションのオプションも検討します。

ステップ 2: インテル® QAT 対応ハードウェアを取得

インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーをベースとしたインテル® QAT 対応プラットフォームから始めます。どのインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーがユースケースに最適化を判断するには、インテル® Xeon® プロセッサー・アドバイザー・ツールにサインインまたは登録してください。

ステップ 3: インテル® QAT 技術リソースを確認
  • インテル® QAT がどのように暗号化やデータ圧縮のワークロードを高速化するのか、また特定のワークロードのリソースのリストに関する詳細は、製品概要を参照してください。
  • 技術資料とアプリケーション情報を参照して、インテル® QAT に特化したソフトウェア・パッケージ、開発キット、ドライバー、コード・ライブラリーを利用してください。
  • インテル® デベロッパー・ゾーンでは、ソフトウェアや開発向け製品の参照、ツールやテクノロジーの検討、そしてほかの開発者とつながることも可能です。
  • 最新のインテル® プロセッサーとパフォーマンス最適化されたソフトウェア・スタックによる、インテル® 最適化された導入環境におけるワークロードの開発と実行向けのサービス・プラットフォームであるインテル® デベロッパー・クラウドについて詳しくはこちら。
ステップ 4: スタートガイドに従う

GitHub のインテル® QAT のスタートガイドで、ハードウェア・バージョン 2.0 パッケージのインテル® QAT ソフトウェアの取得、構築、インストール、および実行に関して参照できます。