農作物生産の最適化を支援するインテルによる AI

重要なポイント

  • 人類は 2050 年までに食料を 50% 増産する必要性に迫られている1

  • AI は、限られたリソースを持続的に利用しつつ、耕作地からの収穫増を目指す農家を支援する

  • ある農家は、AI の利用により、予期しなかった畑の一区画に生息するバッタの大群を発見したことで、トウモロコシの被害を防ぐことができた

ロボットレンズは、トマトの苗の黄色い花に自動的にズームインします。そして、その画像を人工知能アルゴリズムに流し込むと、花がトマトとして結実し、収穫、パッキング、スーパーの野菜棚に並ぶまでにどれくらいかかるかを正確に予測できます。

このテクノロジーは、オンタリオとオハイオ間の 185 エーカーの土地で野菜を育成している創業 20 年の企業、Nature Fresh によって開発、研究されています。将来的にどれくらいのトマトを販売できるかを正確に知ることは、セールスチームの仕事を容易にし、利益にも直結すると Nature Fresh の IT マネージャー、キース・ブラッドリー氏は語ります。これは農業革命に拍車をかける新たな流れであり、農業を変革する AI 利用の一例に過ぎません。

害虫の検出から、最大の収益をもたらす作物の予測まで、人工知能は、人類が直面している人口増大という課題の解決に役立ちます。人類の総人口は 2050 年までにさらに 20 億の増加が予測される一方で2、気候変動は作物の生育環境を変え、肥沃な土地を砂漠化し、洪水はデルタ地帯に塩害をもたらしています。

すべての区画から最大限の収穫を得ることは学問的な問題ではありません。国連では、今世紀中ごろまでに、食料生産を 50% 増やす必要があると見積もっています。3

1960 年から 2015 年までに、世界の総人口は 30 億人から 70 億人へと増え、農業生産量も 3 倍に増加しました。4 テクノロジーも農薬、肥料、機械といった形で重要な役割を果たしましたが、こうした大幅な収穫増の最大の要因は、森を切り開き、畑、牧場、水田への灌漑施設を整備したことでした。そして今、人類はさらに戦略的に対応する必要があります。

AI 対 バッタ  

害虫は農家にとって常に悩みの種でした。農業が発明されて以来数千年、イナゴやバッタなど、作物をむさぼる害虫は、本来ならば人類が手にするはずの収穫を奪い、穀物を食べ尽くしてきました。しかし、AI は生産者に穀物を食い尽くす虫たちに対する強力な武器をもたらします。

つい最近まで、テキサスのある農夫は風向きを確認し、バッタの大群が彼の農場の南西の区画に襲来しそうだと判断していました。しかし、彼が作物をチェックしようとする直前、スマートフォンに AI および農場の監視のために雇ったデータ会社からの警告が送られてきました。

過去の 5 年間の同じ地域の写真と最新の衛星写真を比較した結果、AI アルゴリズムは、害虫がその農家の畑の別の区画に襲来していることを検出しました。彼は AI が知らせた区画を調査し、警告が事実であることを確認し、トウモロコシが実ったその畑から害虫を除去しました。

Nature Fresh Farms では、パルプ化されたココナッツ殻の苗床で温室トマトを育てています。この栄養素のない環境でこそ、どんな成分で作物を育てるかを完全にコントロールすることができます。センサーがトマトの実の完熟度合いを監視し、照明を調整することで、成熟のスピードをコントロールします。この種の農業には一定の処理能力が必要であり、Nature Fresh Farms は、その AI アルゴリズムの原動力としてインテル® Xeon® プロセッサーを採用しています。

2,500 のノードを備えた温室は、農業の 1 つの未来像であると、ブラッドリー氏は述べています。