再生可能エネルギー・テクノロジー

再生可能エネルギーという選択

  • テクノロジーは、代替エネルギー源の管理と送電線網への統合を効率化するうえで重要な役割を果たします。

  • 運用コストの削減と生産性の向上が、再生可能エネルギー市場が直面している 2 つの大きな課題です。

  • 電力会社は IoT テクノロジーを活用して再生可能エネルギーを電力網に組み込むことで、より安定した送電線網を構築できます。

トーマス・エジソンが始めた電力供給により、多くの人がスイッチを押すだけで電力を利用できるようになりました。以来 100年以上にわたってその供給を支えてきたのが化石燃料です。しかし、温室効果などによる気候変動の脅威が追い風となり、再生可能で環境汚染の心配がない代替エネルギー源の開発に期待が寄せられています。今では、国や地域、都市、そしてさまざまな企業が、急成長を続ける再生可能エネルギーを新たなエネルギー源として受け入れようと急いでいます。

現在、使用する電力の 70% 以上を再生可能エネルギーでまかなう都市は、世界で 100 を超えています。1 この動きは都市だけではなく、150 以上の企業が、再生可能エネルギーだけを企業活動に使用するための取り組みを進めています。2 インテルもそうした先進的な企業の 1 つです。インテルのテクノロジーは、再生可能エネルギーの変換や管理を行い、それらを最新のエネルギーグリッドに連系するための新たな方法を提供します。インテル® テクノロジーを採用した安全なコネクテッド IoT ソリューションを使用することで、電力会社や都市はリアルタイムなデータを可視化して、分析や管理ができるようになります。

再生可能エネルギーに対するインテルの取り組みは、2020年までにオンサイトでの再生可能プロジェクトを 3 倍にするという誓約にも示されています。その結果、米国の 12 の州や国に 100 を超える設備が導入され、風力や燃料電池など、10 種類以上のエネルギー生成技術が活用されることになります。

再生可能なエネルギー源

インテルは、エネルギー・テクノロジーの進化を推進するために、再生可能エネルギーのどの部分に、インテルのコンピューティング能力とインテリジェンスを活用するのが最も効果的なのかを考えています。すでに太陽光発電と風力発電においては、再生可能エネルギー・プロバイダーがコストを削減しながら供給量を増やせるようにインテルは支援しています。

太陽光エネルギー
無尽蔵の太陽光エネルギーを取り入れて電力に変換する技術は、常に刷新されています。また、ソーラーパネル自体もどんどん効率化されています。屋根の上面に違和感なく設置できる「SolarSkin (ソーラースキン)」でも、クリーンエネルギーを生成して街灯に電力を供給する太陽光発電による舗道でも、太陽光発電 (PV) に関する画期的な発表は定期的に行われています。

インテル® Falcon™ 8+ ドローンOpenVINO™ ツールキットで最適化されたソフトウェアを組み合わせることで、太陽エネルギーファームの定期点検をより簡単かつ安全に行い、収集したデータのリアルタイム分析をより効率的に実行できます。インテルのフォルサムキャンパスにあるソーラーカーポートでは、ピーク容量で十分な電力を生成して、キャンパスのエネルギー使用量の半分以上を満たすことができます。これは、ほぼ 1,000 世帯への電力供給に相当します。

風力エネルギー
勢いにのっている風力発電業界では、陸上と洋上の両方において風力発電基地の世界的な拡大を見せています。風力発電は、成長著しい代替エネルギー・ソリューションであり、汚染や CO2 排出を引き起こさないため、世界の電力需要の大部分を担う日が来るかもしれません。

ウィンドファームのオペレーターは、インテル® Falcon™ 8+ ドローンを使用して風力タービンブレードの損傷を点検し、OpenVINO™ ツールキットで最適化したソフトウェアを使用してリアルタイムのデータ分析と画像処理を実行します。インテルのテクノロジーは、風の変化に合わせてタービンのガイドベーンの位置を最適化するためにも使用されています。

水力発電
水力による発電は、世界最大の再生可能なエネルギー源といえるでしょう。その仕組みはシンプルです。貯水池に貯められている水が、ダムの取水口を通って流れ、発電機のタービンブレードを回転させて電気を作り出しています。地形が適していれば、このシステムを利用してより高い貯水池にポンプで水を汲み上げ、需要に応じて水を放出して発電することで、エネルギーを貯蔵することもできます。

地熱エネルギー
地球の地下深くにある熱源を利用して、電力の生産や建物の冷暖房を直接行うことができます。アイスランドのような場所では、地球内部からの熱が地表近くにあることから、地熱の温水を使用して、歩道の雪を溶かしたり、プールを温めたりしています。ほかの場所では、深い井戸を通して地熱貯留層の蒸気や熱水を取り出し、それを利用して発電機のタービンを駆動しています。

バイオマスエネルギー
生物から生まれた資源を、バイオ燃料技術を通じて動力源として生まれ変わらせることができます。植物や製材所の廃材、自治体の固形廃棄物などのバイオマス原料となるものを、乾燥、圧縮、燃焼して熱を発生させたり、ガス化することで直接エネルギーに変換したりします。バイオマスは、バイオディーゼルやエタノールといった液体バイオ燃料に変換させることができる唯一の代替エネルギー技術です。

埋立地ガス
メタンは、大気中で最も強力な温室効果ガスの 1 つであり、CO2 の 25 倍にも上ります。3 また、埋立地での有機物の分解によって発生するガスの約半分を占めています。埋立地ガス発電所は、この安定した天然ガスの流れを利用してエンジンやタービンを動かすことでクリーンエネルギーを生産します。さらに、その処理過程で環境からメタンを除去しています。

150 社以上の企業も、再生可能エネルギーのみを使用するという目標に向けた取り組みを約束しています。インテル® テクノロジーは、代替エネルギー源の変換と管理を行い、それらを最新のエネルギーグリッドに統合する新たな方法を見つけ出せるようにします。

再生可能エネルギーの貯蔵

太陽光エネルギーと風力エネルギーの生産は、刻々と変化する気象条件や時間帯によっても左右されます。インテル® アーキテクチャーを搭載したスマートバッテリー・テクノロジーは、安定した電力供給を確保し、余剰電力を蓄え、必要に応じてその電力を解放できます。

再生可能エネルギーと電力グリッド

長い間、グリッド (送電網) への統合が難しいこと、そして従来の電力コストとパフォーマンス・レベルを満たせないという事実によって代替エネルギーが持つ利点は相殺されてきました。それが今では、太陽光発電と風力発電の両方が多くの場所で、従来の電力と同等あるいはそれ以上に利用されています。供給変動への対応は課題として残るものの、経済的かつ環境的な利益と、絶え間なく進化する技術の組み合わせによって、再生可能エネルギーは紛れもなくクリーンなソリューションになるでしょう。

再生可能エネルギーのグリッドは、大規模な発電所を中心に設計された従来の巨大なグリッドとは一線を画しています。再生可能エネルギーの方のグリッドはモジュール型で分散しており、自分で発電することができる需要家によって利用されています。この分散型エネルギーモデルでは、利用者である需要家は余剰電力をグリッドに戻すことで供給者になることができ、多くの州では電気料金のクレジットを受け取ることができます。

インテルの再生可能エネルギー・ソリューション

最近のエネルギー開発の躍進は、IoT テクノロジーのおかげでもあります。顧客による電力の需要をより深く理解するためには、統合されたハードウェアとソフトウェアによる、重要なデータへの迅速なアクセスや、さらなる分析のための安全なデータ転送により、より高い信頼性と迅速な運用能力を提供する IoT が必要になります。

インテル® アーキテクチャー・ベースの IoT テクノロジーは、高度なコンピューティング能力、リモート管理オプション、スケーラブルなパフォーマンスを備えたゲートウェイ・コントローラーを実現します。厳しい環境下でも信頼性を損なうことなく、確実に動作するように設計されています。エネルギー変換、貯蔵、配電に関するデータを取得して転送できるため、ほぼリアルタイムでの分析が行えます。エネルギー使用量のパターンを予測できることで、電力会社は変動の激しい時でも十分な電力供給を維持することができます。これにより、再生可能エネルギーの能力を最大限に活用できるため、電力会社はオープン市場での競争力を一層高めることができます。

リアルタイムでのエネルギーのモニタリングは、太陽光パネルからバッテリーまで、さまざまなスマートグリッドを操作するコントローラーが起点となります。最新のコントローラーは、高い信頼性で、スケーラブルなパフォーマンスと幅広い通信オプションを提供できなくてはなりません。さらに、風力タービンの回転や灼熱のソーラーファームのような過酷な条件下でも確実に動作する必要があるため、頑丈さも備えていなくてはなりません。

インテル® テクノロジー・ベースのゲートウェイ・コントローラーは、コネクテッド・デバイスの広範なネットワークにおける重要な部分を形成し、複数のエネルギー源からの再生可能エネルギーを最も必要とされる場所で利用されるようにします。インテル® ベースの Active Grid Management (AGM) アーキテクチャーは、IoT テクノロジーに基づいたリアルタイムのモニタリングと制御ハードウェアを使用して、グリッド・パフォーマンスの状況認識を向上させます。電力会社は、IoT テクノロジーを活用し、グリッド全体から分散エネルギー源 (DER) のデータを収集して分析を行っています。その結果、グリッドの安定や運用コストの削減だけでなく、自社の電力容量をより効率的に管理できるようになります。AGM のオープン・アーキテクチャーは、高度にモジュール化しており、スケーラブルで相互運用性があります。

例えば、Axiomtek の組込みゲートウェイ・コントローラーは、ソフトウェア・ソリューション・ベースのインテル® アーキテクチャーを使用して、電力会社やエネルギー会社がクラウドからエッジまでのデータを収集、フィルタリング、分析して、レガシーシステムと最新システムの両方でスマートグリッドの管理性を最適化するという最終目標を達成できるようにします。

新しいテクノロジーの採用の促進に向け、インテルではお客様から学び、ベンダーと提携してエコシステム・プレーヤーの強固な文化を築いています。インテリジェントなシステムとそれによってもたらされる有益な情報は、持続可能性と自立したエネルギーに踏み出すための大きな一歩です。そして、再生可能エネルギーの費用対効果と信頼性が高まるにつれ、開発途上国のコミュニティー、都市、国で再生可能エネルギーを利用できるようになります。

すべての人にとって、より多くの再生可能エネルギーが身近になるほど、未来は明るく照らされるでしょう。