2.1.3. トランスミッターの設定
トランスミッターは、トランスミッター・クロックとテストパターン条件に基づいて信号を生成します。

トランスミッター
次のトランスミッターの種類がサポートされています。
- Stratix® V GX
- Stratix® V GT
- インテル® Stratix® 10 Lタイル
- インテル® Stratix® 10 Hタイル
- インテル® Stratix® 10 Eタイル (ラッパーサポート)
- インテル® Stratix® 10 Pタイル (ラッパーサポート)
- インテルAgilex Eタイル (ラッパーサポート)
- インテルAgilex Pタイル (ラッパーサポート)
- インテルAgilex Rタイル (ラッパーサポート)
- インテルAgilex Fタイル汎用トランシーバー・ブロック (ラッパー サポート)
- インテルAgilex Fタイル高速トランシーバー・ブロック (ラッパー サポート)
- Arria® V GZ
- インテル® Arria® 10 GX/SX
- インテル® Arria® 10 GT
- インテル® Cyclone® 10 GX
- IBIS-AMI
- Clock IBIS-AMI
- Custom
- PCI Express* 8 GT
- PCI Express* 16 GT
- PCI Express* 32 GT
トランスミッターの種類によって、選択できるその他のトランスミッター設定が決まります。トランスミッターを選択すると、Link Designerに自動的に挿入され、その他のリンク・コンポーネントに接続できるようになります。
パッケージ
トランスミッター・デバイスのパッケージタイプを選択します。インテル製品およびIBIS-AMIモデルの場合、パッケージモデルはデバイスモデルに含まれます。Customデバイスの場合、パッケージモデルはチャネル設定で指定されます。Customパッケージタイプ (任意のトランスミッター・デバイス用) を選択すると、組み込みパッケージモデル (使用可能な場合) はディスエーブルになります。その後、Link DesignerワークスペースでPackageタイプのチャネル・コンポーネント (Sパラメーターなど) を追加できます。Customパッケージモデルは、トランスミッター・モジュールに近接して配置する必要があります。これは、正しくシミュレートおよび解析できるようにするためです。Customパッケージタイプを選択しても、Packageタイプのチャネル・コンポーネントをLink Designerワークスペースに追加しない場合、トランスミッターはパッケージモデルなしでシミュレートされます。
PackageプルダウンメニューからPackage Designerを選択すると、Transmitter Package Designerが開き、パッケージモデルをデザインまたはカスタマイズできます。

Advanced Link AnalyzerのPackage Designerでは、3つのパッケージモデル生成方法をサポートしています。Package Designer Methodプルダウンメニューを使用して、次のいずれかを選択できます。
- IEEE 802.3 cd/bj COM: この方法では、IEEE 802.3 50 Gbpsイーサネット (802.3cd/bjはタスクグループ名) Channel Operating Margin (COM) リファレンス・パッケージ・モデリング方法を使用して、パッケージモデルが生成されます。ダイ・キャパシタンス、パッケージ材料の特性と長さ、およびPCBバンプをコンフィグレーションできます。詳細については、IEEE 802.3 Annex 92を参照してください。Reset to 802.3cd COM ConfigurationボタンまたはReset to 802.3bj COM Configurationボタンをクリックして、すべてのパラメーターをIEEE 802.3cdまたはIEEE 802.3bjごとのデフォルト値にそれぞれリセットできます。
- IEEE 802.3 ck COM: この方法では、IEEE 802.3ck (100 Gbpsイーサネットのタスクグループ) COMリファレンス・パッケージ・モデリング方法を使用して、パッケージモデルが生成されます (上の図を参照)。ダイ・キャパシタンス、ダイ終端ネットワーク、ダイバンプ、パッケージ材料の特性と長さ、パッケージの垂直遷移 (ビアなど) の材料特性と長さ、およびPCBバンプをコンフィグレーションできます。詳細については、IEEE 802.3 Annex 92および802.3ckを参照してください。Reset to 802.3ck COM Configurationボタンをクリックして、すべてのパラメーターをIEEE 802.3ckごとのデフォルト値にリセットできます。
Custom S-parameter: この方法では、Sパラメーターを指定してパッケージモデルを表すことができます。
Advanced Link Analyzerには、次のトランスミッターのパッケージモデルが付属しています。
- Stratix® V GX
- Stratix® V GT
- Arria® V GZ
-
Arria 10 GX/SX
オプション: インテルArria 10デバイスでは、追加のパッケージモデル (次の図に示されています) を使用できます。パッケージモデルは、パッケージ内のトレース長として指定されます。これらのモデルは、インテルArria 10トランシーバー・トランスミッターにおけるパッケージのトレース長の範囲をカバーするために選択されています。
- Default - デフォルトのパッケージモデルは、14 mmオプションと同じです。
- 14mm
- 16.5mm
- 20mm
- 24mm
デザインを インテル® Arria® 10パッケージ・モデル・オプションと組み合わせる方法を知りたい場合は、マイ・インテル・サポート担当者にお問い合わせください。
図 17. インテル® Arria® 10トランスミッター・パッケージのオプション
- インテル® Stratix® 10 Lタイル - Typical、Minimum、およびMaximumのパッケージモデルが提供されます。
- インテルAgilex Rタイル/Fタイル - Typical、Minimum、およびMaximumのパッケージモデルが提供されます。
- インテル® Arria® 10 GT - インテル® Arria® 10 GX/SXと同じオプションです。
- PCI Express* 8 GT
- PCI Express* 16 GT (プレースホルダーのみ。シミュレーションにはカスタム・パッケージ・モデルを使用します)
- PCI Express* 32 GT
- インテル® Stratix® 10 Hタイル - インテル® Stratix® 10 Lタイルと同じオプションです。
- インテル® Stratix® 10 Eタイル - インテル® Stratix® 10 Lタイルと同じオプションです。
- インテル® Cyclone® 10 GX - Typical、Minimum、およびMaximumのパッケージモデルが提供されます。
VOD選択
トランスミッターのVOD (差動出力電圧) を選択します。VODの選択は、選択したトランスミッターに応じて、電圧レベルまたはインデックスのいずれかになります。サポートされているデバイスの場合、ターゲットVOD値はTransmitterタブページに表示されます。VOD値は、デバイスタイプ、供給電圧、およびPVTによって異なります。
スルーレート
トランスミッター出力信号のスルーレートを選択します。スルーレートのオプションは、選択したデバイスで使用可能です。詳細については、関連するトランシーバーのユーザーガイドを参照してください。
プリエンファシス
次のいずれかのモードで、トランスミッターのプリエンファシス、ディエンファシス、またはTX FIRコンフィグレーションを選択または指定します。
- Auto - Advanced Link Analyzerでは、リンク最適化アルゴリズムを使用して、最適なトランスミッターFIR設定を見つけます。
- Auto with Manual Starting Point - 初期TXプリエンファシスまたはFIRコンフィグレーションを指定します。Advanced Link Analyzerのリンク最適化エンジンでは、TX設定を初期条件として使用します。
- Manual - 非インテルのデバイスの場合、タップ係数を手動で入力できます。インテルデバイスの場合は、各FIRタップのメニューから、個々のFIRレベルを選択します。インテルデバイスのFIR選択は、VODに依存します。したがって、VODまたはデバイスタイプを変更すると、TX FIRメニューの内容がリセットされる可能性があります。一般的なトランスミッター・タイプの場合、典型的なFIR係数のセットがプルダウンメニューに含まれています。
- Off
ラッパーサポートがイネーブルになっているインテルAgilex Fタイル高速トランシーバーを選択すると、トランスミッターGUIは、高速トランスミッターのFIR設定とレジスター設定の間で変換できます。これらは、インテルQuartus Prime開発ソフトウェアで使用されます。

推定TX EQ ACゲイン
プリタップ値とポストタップ値を選択して、dBスケールでACゲインを推定します。TX EQ ACゲインは、リンクのDC (0 Hz) とナイキスト周波数の間のゲインとして計算されます。このゲインは、FIRタイプのトランスミッター・プリエンファシス方式と理想的なトランスミッター出力波形を想定しています。
PLLタイプと帯域幅
トランスミッター・クロックを生成するために、トランスミッターで使用されるPLLのタイプと帯域幅を選択します。
- Ideal Clock - デフォルトのPLL設定。PLLはディスエーブルになり、クロックは外部リファレンス・クロックから渡されます。
- Intel transmittersの場合、PLLモデルとコンフィグレーションは次の設定に基づいて自動的に設定されます。
- データレート
- リファレンス・クロック周波数
- オシレーター・タイプ:
- Stratix® V GXおよび Arria® V GZ - ATX (LC) またはCMU
- Stratix® V GT - ATX (LC)
- インテル® Arria® 10 GX/SX/GT - ATX (LC)、Fractional PLL、またはCMU
- インテル® Stratix® 10 Lタイル/Hタイル/Eタイル - ATX (LC)、Fractional PLL、またはCMU
- インテル® Cyclone® 10 GX - ATX (LC)、Fractional PLL、またはCMU
- インテルAgilex - TX PLL
- PLL帯域幅
- 内部分周比などのインテルのトランスミッターPLLコンフィグレーション
インテルは、トランスミッターPLLをセットアップする際に、インテルのリファレンス・クロックの選択とPLLコンフィグレーションの推奨事項に従うことをお勧めします。リファレンス・クロックとPLLのガイドラインに従わないと、不安定なPLLを動作してシミュレートし、予期しない結果が生じる可能性があります。
- Custom transmittersの場合、PLLモデルとコンフィグレーションはインテルPLLと同様の設定に基づいて自動的に設定されますが、より包括的なPLLコンフィグレーション機能は現在開発中です。カスタム・トランスミッターでは、VCOはLCタイプまたはリング・オシレーター (Ring) タイプのいずれかになります。カスタムPLLタイプでは、より多くのPLL対リファレンス・クロック分周比がサポートされています。予期しない結果を避けるために、トランスミッターPLLをセットアップする際は、インテルのPLLおよびリファレンス・クロックのガイドラインに従ってください。
- PLLは現在、ネイティブIBIS-AMIトランスミッターではサポートされていません。
供給電圧
サポートされているデバイスでは、供給電圧を選択できます。
- 0.95 V (インテルArria 10 GX/SX/GT)
- 1.03 V (インテルArria 10 GX/SX/GT)
- 1.12 V (インテルArria 10 GT)
- 1.03 V
- 1.12 V
- 1.03 V
- 1.12 V
- 0.95 V
- 1.03 V
Vcm
Vcm は、送信信号の共通電圧です。
スコープオプション
Advanced Link Analyzerには、TX出力スコープのエミュレーション用のオプションが4つあります。
- Default
- BW = Data Rate / 1667 (デフォルト値)
- BW = 4 MHz
- Disable
PVT
選択したトランスミッター・デバイスのプロセス、電圧、および温度 (PVT) モデルを選択します。PVTモデルのサポートは、デバイスタイプ、デバイスデータの可用性、およびモデルカバレッジによって異なります。Transmitterタブページに、PVTモデルカバレッジを示すメッセージが表示されます。次の表では、トランスミッターのPVTモデルカバレッジと条件を示します。
トランスミッター・タイプ | 波形PVTモデル | ジッター/ノイズPVTモデル |
---|---|---|
Stratix® V GX | Typical | Process: Typical/Fast/Slow Voltage: Typical/High/Low Temperature: –40°C~100°C |
Arria® V GZ | Typical | Process: Typical/Fast/Slow Voltage: Typical/High/Low Temperature: –40°C~100°C |
Stratix® V GT | Typical | Process: Typical/Fast/Slow Voltage: Typical/High/Low Temperature: 0°C~100°C |
インテル® Arria® 10 GX/SX | Typical/Fast/Slow | Slow |
インテル® Arria® 10 GT | Typical/Fast/Slow | Slow |
インテル® Stratix® 10 Lタイル | Typical/Fast/Slow | Slow |
インテル® Stratix® 10 Hタイル | Typical/Fast/Slow | Slow |
インテル® Cyclone® 10 GX | Typical/Fast/Slow | Slow |
ラッパーサポートされたインテル IBIS-AMI Model | IBIS-AMIモデルによる提供 | IBIS-AMIモデルによる提供 |
IBIS-AMI | IBIS-AMIモデルによる提供 | IBIS-AMIモデルによる提供 |
Custom | なし | なし |
PCI Express* 8GT | なし | なし |
PCI Express* 16GT | なし | なし |
温度範囲
インテル® Arria® 10の場合、デバイスモデルには温度範囲依存性があります。Industrial用の温度範囲は40 °Cから100 °C、Extended用は0 °Cから105 °C、Military用は-40 °Cから125 °Cです。デフォルト設定はIndustrial用の温度範囲です。サポートされている温度範囲については、デバイスのデータシートを参照してください。データシートの値は、このドキュメントの値よりも優先されます。
インテルArria 10 GX/SX/GTトランスミッター向けのAdvanced Link AnalyzerからインテルQuartus Primeパラメーターへの変換
次の表では、Advanced Link AnalyzerインテルArria 10 GX/SX/GTトランスミッターのパラメーター名から、同等のインテルQuartus Primeパラメーター名への変換を示しています。インテルQuartus Prime開発ソフトウェアを使用して、Advanced Link Analyzerシミュレーションから実際のデバイス・コンフィグレーションに最適なデバイス設定を転送します。
Advanced Link Analyzerでの名前 | インテル® Quartus® Primeでの名前 |
---|---|
Vod Selection | Transmitter Output Swing Level |
Post-Tap 1 1 | Transmitter Pre-Emphasis First Post-Tap Magnitude |
Post-Tap 2 1 | Transmitter Pre-Emphasis Second Post-Tap Magnitude |
Pre-Tap 1 1 | Transmitter Pre-Emphasis First Pre-Tap Magnitude |
Pre-Tap 2 1 | Transmitter Pre-Emphasis Second Pre-Tap Magnitude |
Sign of Post-Tap 1 1 | Transmitter Pre-Emphasis First Post-Tap Polarity 2 |
Sign of Post-Tap 2 1 | Transmitter Pre-Emphasis Second Post-Tap Polarity 2 |
Sign of Pre-Tap 1 1 | Transmitter Pre-Emphasis First Pre-Tap Polarity 2 |
Sign of Pre-Tap 2 1 | Transmitter Pre-Emphasis Second Pre-Tap Polarity 2 |
PLL Type
|
Intel Quartus Prime PLL Type
|
Slew Rate | XCVR_A10_TX_SLEW_RATE_CTRL |
PLL Bandwidth | 選択したPLLタイプのPLL Configuration OptionsのBandwidth |