インテル® Cyclone® 10 LP FPGA デバイス用 Early Power Estimator ユーザーガイド

ID 683743
日付 5/08/2017
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ドキュメント目次

3.1.4.2. ヒートシンクの使用

ヒートシンクを使用する場合、電力は主に、デバイスからケース、熱インターフェイス材料、およびヒートシンクを通過して放散されます。また、ボードを通過する放電経路もあります。ボードを通過する経路は、大気への経路と比べると影響が少ないです。
図 9. 熱の放散図 ( ヒートシンク使用時 )

Early Power Estimator (EPE) スプレッドシートで使用されるモデルでは、電力の放散は、ボードを通過する経路と、ケースとヒートシンクを通過する経路があります。ジャンクションからボードまでの熱抵抗 JA BOTTOM) は、ボ ードを通過する経路の熱抵抗と言えます。ジャンクションから周囲までの熱抵抗 (θJA TOP) は、ケース、熱インターフェイス材料、およびヒートシンクを通過する経路の熱抵抗と言えます。

図 10. EPE スプレッドシートの熱モデル ( ヒートシンク使用時 )

EPE スプレッドシートの熱モデルにθJA BOTTOM を考慮する場合は、Board Thermal Model パラメーターをJEDEC (2s2p) に設定します。それ以外では、Board Thermal Model パラメーターをNone (conservative) に設定します。この場合、ボードを通過する経路は、消費電力には考慮されず、より慎重な熱消費電力の見積りが得られます。

ジャンクションから周囲までの熱抵抗 (θJC)、ケースからヒートシンクまでの熱抵抗 (θCS) 、およびヒートシンクから周囲までの熱抵抗 (θSA) の加算は、θJA TOPの等式で算出されます。

図 11. ジャンクションから周囲までの熱抵抗

パラメーターのセクションで選択したデバイス、パッケージ、エアフロー、およびヒートシンク・ソリューションに基づいて、E PE スプレッドシートは θJA TOPを算出します。

ロー、ミディアム、またはハイ・プロフィール・ヒートシンクを使用する場合、Still Airの値と100 lfm (0.5 m/s)200 lfm (1.0 m/s)、および400 lfm (2.0 m/s)のエアフロー率から、エアフローを選択します。カスタム・ヒートシンクを使用する場合は、カスタム θSA値を入力します。カスタム θSA値には、エアフローを統合する必要があります。したがって、Airflow パラメーターはこの場合は適用されません。これらの値は、ヒートシンクの製造元から入手することができます。

周囲温度は変化しませんが、ジャンクション温度は熱特性によって変化します。ジャンクション温度が変化すると、ジャンクション温度の計算に使用するデバイスの熱特性に影響するため、ジャンクション温度の計算は繰り返し行われます。

総消費電力は、全 θJA値、周囲温度、およびジャンクション温度に基づき、次の等式で計算されます。

図 12. 総消費電力