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1.5.3. マウンティング・インダクタンス
マウンティング・インダクタンスとは,コンデンサーを基板に実装する際に発生する直列インダクタンスのことです。この寄生インダクタンスを、キャップベンダーが公開しているESL値に加算します。マウンティング・インダクタンスを最小限に抑えるには、より小型のコンデンサー・パッケージを選択し、コンデンサーをPCB上に適切にレイアウトします。図 3 では、取り付けたコンデンサーとPCBプレーン、BGAデバイスの断面を示しています。
図 3. デカップリング・コンデンサーのマウンティング

マウンティング・インダクタンスを見積もるには、次の式を使用します。
- Lmnt = Ltrace + Lvia
ただし
- Ltrace = 128*[(2xLenpad)+Lencap]*(htop/w) pH
および
- Lvia = 10*htop*ln(2s/D) ph
ただし
- Lenpad = コンデンサー・パッドの長さにパッドからビアまでのトレース長 (ミル) を加えたもの
- Lencap = コンデンサー本体の長さ (ミル)
- w = コンデンサー・パッドとビア間のトレースの幅 (ミル)
- htop = 最上層から最上層に最も近い電源/グランドプレーン間までの距離 (ミル)
- s = コンデンサーの電源ビア中心からグランドビア中心までの距離 (ミル)
- D = ビアの外径 (ミル)
- hplanes = 電源とグランドプレーン間の距離 (ミル)
- b = コンデンサーとパッケージの電源/グランドビア間の距離の半分 (ミル)
一般に、マウンティング・インダクタンスを最小限に抑えるには、コンデンサーの電源ビアとグランドビアをそれぞれのパッドにできるだけ近づけます。また、可能であれば、幅の広い接続トレースと大き目のビアドリル径を使用します。電源とグランドプレーンのペアを配置する位置をコンデンサーが取り付けられている表面の近くにすると、ビア・インダクタンスの影響が減少します。さらに、ビアの配置は、コンデンサーの両端 (ビアオンエンド・コンフィグレーション) ではなく、コンデンサーの同じ側 (ビアオンエンド・コンフィグレーション) にすると、電流ループ面積が減少し、ループを貫く磁束線の量が最小限に抑えられ、インダクタンスが低減します。図 4 では、さまざまなコンデンサーのレイアウトトポロジーを示しています。表 1 は、そのさまざまなキャップのレイアウトスタイルのマウンティング・インダクタンスを、異なるサイズのコンデンサーの場合で比較したものです。
図 4. さまざまなコンデンサーのレイアウトトポロジー

ビアの長さ (プレーンからの高さ、インチ) |
0603 フットプリント |
0603 フットプリント |
0603 フットプリント |
0603 フットプリント |
0402 フットプリント |
0402 フットプリント |
---|---|---|---|---|---|---|
0.020ドリル | パッドからビアまでの細いトレース | 短く太いトレース | パッドの端のビア | パッドの側面のビア | パッドの端のビア | パッドの片側のビア |
0.004 | 1.57 | 1.04 | 0.82 | 0.52 | 0.8 | 0.5 |
0.006 | 1.96 | 1.35 | 1.05 | 0.65 | 1 | 0.63 |
0.01 | 2.51 | 1.87 | 1.4 | 0.88 | 1.34 | 0.86 |
0.02 | 3.45 | 2.87 | 2.13 | 1.39 | 1.99 | 1.36 |
0.010ドリル | ||||||
0.004 | 1.61 | 1.08 | 0.86 | 0.56 | 0.84 | 0.54 |
0.006 | 1.99 | 1.39 | 1.08 | 0.69 | 1.04 | 0.67 |
0.01 | 2.55 | 1.92 | 1.45 | 0.92 | 1.38 | 0.9 |
0.02 | 3.49 | 2.91 | 2.17 | 1.44 | 2.03 | 1.4 |
表 1 で示しているように、0.50nHの最適なマウンティング・インダクタンスが得られるのは、0402サイズの小型コンデンサーを取り付ける際に、ビアオンサイド・スキームで、広い接続トレースを20ミルの大き目のビアドリル径に対して使った場合です。図 5 で示しているその他の推奨されるビア配置コンフィグレーションでは、マウンティング・インダクタンスをさらに低減することができます。ただし、その場合は、ビアの追加が必要になり、配線性に支障をきたします。
図 5. マウンティング・インダクタンスを低減するビア配置スタイル
