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5.1.5.6.3. ビアの不連続性
トレースの配置時は、ビアとレイヤーの変更はできるだけ避けてください。これは、ビアによってエッジの速度の低下や反射が引き起こされるためです。ビアは誘導性と容量性の両方の性質を持っていますが、容量性の方が強くなっています。デザインに差動信号を使用する場合は、ビアが必要です。ただし、真の信号と相補信号で発生する不連続性を同じにするには、ビアのコンフィグレーションは、差動ペアの各信号に対して同じにする必要があります。したがって、ビアによって誘発される不連続性による信号の変動は、コモンモードになります。差動モードの不連続性により、ダイナミック・レンジが減少します。
ブラインドビアは、フルサイズのビアよりも高価ですが、小型で、不連続性としての作用は少なくなります。ブラインドビアは、PCBを通過せず、ビアからの不連続性を低減するようにデザインされています。フルサイズのビアを使用する場合のパフォーマンスを向上させるには、ビアを伝送線路と直列に使用します。ビアセクションは、ハンギングのままになっていると、容量性スタブと同じように動作します。
図 59 では18層ボードを示しています。レイヤー1、3、および16は信号レイヤーです。トレースは、レイヤー3を通すのではなく、レイヤー1からレイヤー16に配置します。レイヤー3で止まるトレースを配線すると、ビアの左側にハンギングのままになっている部分は、容量性スタブと同じように動作します。
ビアに対する容量性スタブの影響がより顕著になるのは、ボードデザインに次の事項が関連する場合です。
ボードの厚さが93ミルで、容量性スタブを使用している場合、厚さ200ミルのボードを同じ周波数で動作させたときと比較すると、3.125Gbpsの信号への影響は少なくなります。つまり、ボードが厚すぎると、ビアによってシグナル・インテグリティーが影響を受けます (3.125Gbpsの場合)。
可能であれば、ビアとビアスタブは避けてください。また、ビア上の不要なパッドによって、パラレル・プレート・キャパシタンス容量が相互のパッド間に生成されるので、除去してください。厚さが100ミルのボードをデザインする場合、3.125Gbps信号のためにビアをバックドリルする必要はありません。ただし、100ミルよりもかなり厚いボードには、バックドリル加工が望ましいかもしれません。
伝送線路に電流が流れると、磁場が発生します。磁束線は、リファレンス構造にリターン電流を誘導します。伝送線路の幅の広い側がリファレンス・プレーンに面している場合、リターン電流のほとんどは、リファレンス・プレーンの表皮深さで伝送線路の下を流れます。表皮深さの値の計算には、次の式を使用します。
ただし、
電流密度をリファレンス・プレーンの任意の点xで計算するには、次の式を使用します。
ただし、
リターン電流には、適切なパスを用意してください。図 60 で示しているレイヤー1から13への変更は、差動信号ペア (赤色と緑色の構造) に対するものです。信号は、ポイントAをスタートし (図 60) 、ポイントBに伝送されます (図 62)。
図 60、図 61、および図 62 で示しているとおり、実線のリファレンス・プレーン (水色の構造部分) が信号線に提供されます。
GNDアイランドは、必要に応じて作成します。GNDのアイランドを作成するときは、プレーンを参照している他の信号がスプリットを通過しないようにしてください。信号がスプリットを通過すると、ループが大きくなり、その領域のインダクタンスも増加します。
レイヤーを変更する際は、リターン電流経路にGNDビアを設ける必要があります。リターン経路にGNDビアがない場合、リターン電流は最も近い経路を探しますが、その経路は十分に近いとは限りません。その場合、電流はより長い経路をたどるため、ループが大きくなります。ループを通過する磁束線の数が多いため、ループの延長に伴ってインダクタンスも増加します。図 60 では、2つのビアしか示していませんが、信号ビアを囲むビアを増やすことをお勧めします。
図 61 は、図 60 のレイヤー変更を側面から見た図です。信号はレイヤー1からレイヤー13に伝送されます。各レイヤーにはビアパッドがあります。パラレル・プレーン・キャパシタンスがパッド間に存在するため、不要なパッドによって容量性負荷が増加します。したがって、パッドは、伝送線路にビアを直接接続しているパッドを除いてすべて取り外します。
図 62 では、GNDアイランドによって、信号のリファレンス・パスが適切に提供されています。GNDビア (水色の構造部分) を高くして、過度の不連続性を回避しています。
図 62 のPCBには、十分なGNDビアがないため、信号ビアの周囲にGNDビアを追加して、2つの信号線に均等に分散させる必要があります。図 62 では、差動ペアの片側だけにGNDビアが隣接しています。
図 63 で示しているTDRプロットには、93ミルの厚さの Stratix® GX開発ボードのサンプルビアが含まれています。ビアは、0.7pFのキャパシタンスの不連続性であると見なすことができます。このビアによって、18層ボードのレイヤー1とレイヤー13にある2本の伝送線路を接続します。
- 信号の高速化
- ボード厚の増加
- ビアパッドの付加
- 表皮深さ = 1/√(πƒµoµrσ)
- ƒ = 周波数
- µo = 空気の透磁率
- µr = 相対透磁率
- σ = 材料の導電率
- Ix = Ioe-x/do
- Ix = xでの電流密度
- Io = 表皮深さの電流密度
- x = 表面からの距離
- do = 表皮深さ