Quartus® Primeプロ・エディションのユーザーガイド: タイミング・アナライザー

ID 683243
日付 4/01/2024
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ドキュメント目次

2.1. デザインフロー全体におけるタイミング制約の使用

正確なタイミング解析を行うには、タイミング制約を適切に定義してデザインのクロック周波数要件、タイミング例外、およびI/Oタイミング仕様を指定することが不可欠です。それにより、実際の条件との比較を行います。

タイミング制約はさまざまなSynopsys Design Constraint (SDC) ファイルで指定し、プロジェクトに追加します。SDCファイルを定義すると、タイミング解析はデザインのコンパイルフローの2つの主要な段階で実行することができます。

  • Analysis & Synthesis 実行後 - 早期タイミング解析を実行することができます。これは、合成済みのデザインおよび指定する初期のRTLでのSDC制約に基づき行われます。デザインを新しく開始している場合は、RTLでのSDC制約手法を使用することで、合成後のタイミング解析の利点を把握することができます。既存のデザインがすでに部分的に完成している場合は、従来のSDC制約を使用するのが最適です。
  • Fitter 実行後 - フィット後のタイミング解析を実行することができます。これは、実際のパス遅延と、指定している従来のSDC制約を考慮する解析です。

合成後の早期タイミング解析の制約

Analysis & Synthesis を実行したら、合成後の早期タイミング解析を実行することができます。これは、合成済みのデザインと、RTLでのSDC (.rtlsdc) で定義している初期の制約、または合成専用の従来の .sdc で定義している初期の制約に基づき行われます。RTLでのSDCでは、デザインのRTLと同じ名前を使用して制約を定義することができるため、タイミング制約の名前はエラボレーションされたネットリストのRTLノード名と厳密に一致します。

早期タイミング解析では、指定している初期のRTLでのSDC制約を使用して、合成後のスタティック・タイミング解析を実行します。フィッターの実行は必要ありません。コンパイラーは、Analysis & Elaboration時に制約を読み取り、RTLでのSDC制約をコンパイルのダウンストリーム・ステージすべてに適用します。詳細な手順に関しては、RTLでのSDCタイミング制約の指定を参照してください。

RTLでのSDCの代わりに、合成専用の従来の .sdc を定義してデザイン合成にのみ制約を適用することができます。詳細は、合成専用のSDCタイミング制約の指定を参照してください。

フィット後のタイミング解析の制約

フィッターのPlan、Place、Route、Fitter (Finalize) ステージを実行したら、フィット後のタイミング解析を実行することができます。このタイミング解析では、プラン、配置、または配線デザインに基づく実際のパス遅延と従来のSDC (.sdc) ファイルで定義する制約が考慮されます。このフィット後のタイミング解析は、タイミング制約を最も正確に制御するものです。

従来の .sdc ファイルは、タイミング・アナライザーGUIで直接定義する、もしくは、Edit > Insert Template を使用して、利用可能なSDCファイルのテンプレートを使用することができます。または、.sdc ファイルを任意のテキストエディターで定義し、それをプロジェクトに統合することもできます。従来のSDCタイミング制約の指定を参照してください。

サポートされるSDCファイルタイプの表では、さまざまなSDCファイルタイプにおける違いと、 Quartus® Prime開発ソフトウェアにおいてそれらをいつ使用するかをまとめています。

表 4.  サポートされるSDCファイルタイプ
  RTLでのSDC 合成専用のSDC 従来のSDC
制約読み取りステージ Analysis & Elaboration 合成 フィッター、サインオフ
制約処理ステージ フィッターによる合成 合成のみ フィッター、サインオフ
QSF割り当て RTL_SDC_FILE (エンティティーをサポート) SDC_FILE SDC_ENTITY_FILE -read_during_post_syn_and_post_fit_timing_analysis SDC_FILE
SDC_FILE SDC_ENTITY_FIL E -read_during_post_syn_and_not_post_fit_timing_analysis
サポートされる構文 Tcl (SDC 2.1コマンド使用)

Tcl ( Quartus® Prime SDCコマンド使用)

Tcl ( Quartus® Prime SDCコマンド使用)
SDC 2.1への準拠 はい いいえ いいえ
ターゲットの種類 RTL

Quartus® Primeタイミンググラフ

Quartus® Primeタイミンググラフ
階層的なターゲット あり なし なし
埋め込みタイミングノード (IPで使用) なし コア・ファブリックのみ。合成後のタイミング解析では、埋め込みタイミングノードはペリフェラルに存在しません。 あり
制約をロードするSTAコマンド read_sdc または import_sdc コマンドを任意のスナップショットで実行します。

合成後のスナップショットでのスタティック・タイミング解析時にのみ read_sdc コマンドを実行します。

任意のフィッター・スナップショット (Plan、Place、Route、Retime) でのスタティック・タイミング解析時に read_sdc コマンドを実行します。合成時にはロードされません。