Quartus® Prime プロ・エディションのユーザーガイド: デザイン最適化

ID 683641
日付 7/08/2024
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ドキュメント目次

5.5.10. メタスタビリティーの解析と最適化手法

メタスタビリティー問題は、無関係または非同期クロックドメインの回路間で信号が転送される際に発生する可能性があります。これは、設計者が信号のセットアップ時間およびホールド時間の要件を満たすことを保証できないためです。 平均故障間隔 (MTBF) は、メタスタビリティーがデザイン障害を発生させる際、インスタンス間の平均時間を推定した値です。

Quartus® Prime 開発ソフトウェアを使用して、デザインが非同期信号を同期させる際のメタスタビリティーによる 平均 MTBF を分析し、MTBF を改善するためにデザインを最適化することができます。これらのメタスタビリティー機能は、Timing Analyzer で制約されたデザインおよび特定のデバイスファミリーにのみ対応しています。

Synchronization Identification は、リタイミングに影響を与える可能性があります。コンパイラーがシンクロナイザーの一部として識別するレジスターはリタイミングされません。デフォルトのチェーン長は 3 ですが、場合によってはシンクロナイザー・チェーンは不要であり、推測されるべきではありません。report_metastability コマンドを使用して、削減できるシンクロナイザー・チェーンを特定してください。

例えば、クロックドメインを跨ぐ際に同期化されたイネーブルを使用するバスの場合、このようなバスをパイプライン化すると、パイプラインステージがシンクロナイザー・チェーンの一部と見なされ、パスのリタイミングには使用されません。これらのパスのチェーン長を 1 に設定することで、パイプライン・レジスターをリタイミングに使用できるようになります。