Quartus® Primeプロ・エディションのユーザーガイド: デバッグツール

ID 683819
日付 7/08/2024
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ドキュメント目次

2.1. Signal Tapロジック・アナライザーの概要

Quartus® Prime開発ソフトウェアで使用可能なSignal Tapロジック・アナライザーでは、インテルFPGAデザインにおけるリアルタイムの信号動作をキャプチャして表示できます。Signal Tapロジック・アナライザーを使用することで、通常のデバイス動作中に内部信号の動作をプローブしてデバッグできます。このとき、追加のI/Oピンや外部のラボ機器は必要ありません。

デフォルトでは、Signal Tapロジック・アナライザーは実行中に指定した信号からデータを継続的にキャプチャします。特定の信号データのみをキャプチャして格納するには、データキャプチャの開始または停止をトリガーする条件を指定します。トリガー条件が満たされるとトリガーがアクティブになり、解析が停止してデータが表示されます。キャプチャしたデータをデバイスメモリーに保存して後の解析や、関係のないデータのフィルタリングに使用できます。

Signal Tapロジック・アナライザーのインスタンス

ロジック・アナライザー機能をイネーブルするには、プロジェクトでSignal Tapロジック・アナライザーのインスタンスを1つ以上定義します。Signal Tapインスタンスのプロパティーは、Signal Tapロジック・アナライザーGUIで定義するか、Signal Tap Logic Analyzer Intel® FPGA IPのHDLインスタンス化によって定義できます。デザインのコンパイル後、デザイン (Signal Tapインスタンスを含む) を使用してターゲットデバイスをコンフィグレーションします。これにより、JTAG接続を介してデータキャプチャとSignal Tapロジック・アナライザー GUI との通信が可能になります。

図 19.  Signal Tapロジック・アナライザーのブロック図

Signal Tapロジック・アナライザーGUI

Signal Tapロジック・アナライザーGUIを使用すると、Signal Tap信号コンフィグレーションとJTAG接続設定の迅速な定義や変更、解析中にキャプチャされた信号の表示、解析の開始と停止、および信号データの表示や記録ができます。GUIでSignal Tapインスタンスをコンフィグレーションすると、Signal Tapはインスタンス設定をSignal Tap Logic Analyzerファイル (.stp) に保存して再利用できるようにします。

図 20.  Signal Tap Logic Analyzer GUI

Signal Tapロジック・アナライザーとシミュレーターの統合

Signal Tapロジック・アナライザーを、サポートされているシミュレーター環境に統合できます。Signal Tapでは、任意のデザイン階層にタップできる「シミュレーター対応」ノードのリストを簡単に生成できます。このノードセットをタップすると、デザイン階層全体を完全に可視化し、RTLシミュレーター内のすべての内部信号状態を直接観察することができます。

Signal Tapは、自動RTLシミュレーション・テストベンチ作成もサポートしているため、取得したSignal Tapハードウェア・データをRTLシミュレーターに直接エクスポートし、Signal Tapでタップするように指定した信号以外の信号を観察できます。ライブ・データ・トラフィックを使用してシミュレーション・イベントを作成し、シミュレーターで複製できます。

Signal Tapロジック・アナライザーの機能

Signal Tapロジック・アナライザーでは、多数のチャネル、大きなサンプル深度、高速クロック速度、および Signal Tapロジック・アナライザーの主な機能の表に記載されているその他の機能をサポートしています。

表 7.   Signal Tapロジック・アナライザーの主な機能
機能 利点
1つのデバイス内で複数のロジック・アナライザー、または1つのチェーン内で複数のデバイスが使用可能 複数のクロックドメインと複数のデバイスから同時にデータをキャプチャします。
アナライザー・インスタンスごとに最大10個のトリガー条件の設定が可能 複雑なデータ・キャプチャ・コマンドをロジック・アナライザーに送信して、精度の向上および問題の分離を実現します。
パワーアップ・トリガー トリガーの信号データをキャプチャします。対象となるトリガーの発生タイミングは、デバイスのプログラミング後、かつ手動でのロジック・アナライザーの起動前です。
カスタムトリガーHDLオブジェクト Verilog HDLまたはVHDLでカスタムトリガーを定義し、必要なすべての接続を手動配線することなく、デザイン階層全体のモジュールの特定のインスタンスをタップします。
ステートベース・トリガー・フロー トリガー条件を整理して、データキャプチャを正確に定義します。
柔軟なバッファー取得モード 取得バッファーに書き込まれるデータを正確に制御します。デザインのデバッグに関係のないデータサンプルを破棄します。
MATLAB* とMEX関数の統合 Signal TapキャプチャデータをMATLAB*整数行列に収集します。
RTLシミュレーター統合 デザイン階層にタップするノードのセットを簡単に作成し、RTLシミュレーター内のすべての内部信号状態を観察できます。自動テストベンチ作成により、取得したSignal TapデータをRTLシミュレーターに直接挿入できます。
ロジック・アナライザー・インスタンスあたり最大4,096チャネル 多数の信号と幅広いバス構造をサンプリングします。
インスタンスあたり最大128Kサンプル 各チャネルで大容量サンプルセットのキャプチャが可能です。
高速クロック周波数 データノードの同期サンプリングのため、テスト対象のロジックを駆動する同じクロックツリーを使用します。
他のデバッグ・ユーティリティーとの互換性 Signal Tapロジック・アナライザーをJTAGベースのオンチップ・デバッグ・ツール (In-System Memory Content Editorなど) と連携して使用します。信号値をリアルタイムで変更します。
浮動小数点表示フォーマット
  • 単精度浮動小数点フォーマットIEEE754 Single (32-bit)
  • 倍精度浮動小数点フォーマットIEEE754 Double (64-bit)