インテル® Stratix® 10 LタイルおよびHタイル・トランシーバーPHYユーザーガイド

ID 683621
日付 3/03/2020
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ドキュメント目次

3.1.2. fPLL

フラクショナルPLL (fPLL) は、最大12.5 Gbpsのデータレートのクロック周波数を生成するために使用されます。これは、整数および小数周波数合成の両方をサポートすることができます。fPLLは、トランシーバー・アプリケーションにトランスミッターPLLとして使用することができます。fPLLは、ATXまたは別のfPLLにカスケード接続することができ、また、コア・クロック・ネットワークを駆動するために使用することもできます。各トランシーバー・バンクには、2つのfPLLがあります。

PLLカスケーディングにより、リファレンス・クロックの選択に関してさらなるフレキシビリティーが得られます。

図 141. fPLLブロック図

入力リファレンス・クロック

これは、PLLの専用入力リファレンス・クロック・ソースです。

入力リファレンス・クロックは、次のいずれかのソースから駆動できます。ソースはパフォーマンスの順にリストされており、最初の選択肢が最良のパフォーマンスを提供します。

  • 専用リファレンス・クロック・ピン
  • リファレンス・クロック・ネットワーク
  • レシーバ入力ピン
  • PLLカスケード出力
  • コア・クロック・ネットワーク
注: 各コア・クロック・ネットワークのリファレンス・クロック・ピンは、単一のタイルにあるfPLLのみを駆動できます。

入力リファレンス・クロックは、差動信号です。インテルは、最高のジッター性能を得るために、入力リファレンス・クロック・ソースとして、専用のリファレンス・クロック・ピンを使用することをお勧めします。正常なPLL動作を実行するには、デバイスのパワーアップ時に入力リファレンス・クロックが安定し、かつフリーランニングである必要があります。デバイスのパワーアップ時にリファレンス・クロックが使用できない場合は、リファレンス・クロックが使用可能になった時点でPLLをリキャリブレーションする必要があります。

注: fPLLキャリブレーションは、OSC_CLK_1 クロックによってクロッキングされますが、キャリブレーションを続行するにはOSC_CLK_1クロックが安定しており、使用可能である必要があります。PLLキャリブレーションおよび OSC_CLK_1 クロックについての詳細は、キャリブレーションの項を参照してください。

fPLLリファレンス・クロック・マルチプレクサー

リファレンス・クロック (refclk) マルチプレクサーは、使用可能なさまざまなリファレンス・クロック・ソースからPLLへのリファレンス・クロックを選択します。
図 142. リファレンス・クロック・マルチプレクサー

Nカウンター

Nカウンターは、リファレンス・クロック (refclk) マルチプレクサーの出力を分周します。Nカウンターを分割することは、ループ帯域幅が減少し、位相周波数検出器 (PFD) の動作範囲内の周波数を低減させる一助となります。Nカウンターは1から32分周係数をサポートしています。

位相周波数検出器

Nカウンターブロックの出力部におけるリファレンス・クロック (refclk) 信号およびMカウンターブロックの出力部におけるフィードバック・クロック (fbclk) 信号は、PFDへの入力として供給されます。PFDの出力は、refclk 入力と fbclk 入力の位相差に比例します。PFDは refclkfbclk の位置をアライメントします。リファレンス・クロックの立ち下がりエッジがフィードバック・クロックの立ち下がりエッジの前に発生した場合、PFDは「Up」信号を生成します。逆に、フィードバック・クロックの立ち下がりエッジがリファレンス・クロックの立ち下がりエッジの前に発生した場合は、PFDは「Down」信号を生成します。

チャージポンプおよびループフィルター (CP + LF)

PFD出力は、VCOの制御電圧を生成するチャージポンプおよびループフィルターにより使用されます。チャージポンプは、PFDからの「Up」または「Down」パルスを電流パルスをに変換します。電流パルスは、ロー・パス・フィルターを介してVCO周波数を駆動する制御電圧にフィルターされます。

電圧制御オシレーター

fPLLは、リング・オシレーター・ベースのVCOを有します。VCOは次の式を使用して、入力制御電圧を調整可能な周波数のクロックに変換します。

VCO freq = 2 * M * input reference clock/N

NはNカウンター分周係数で、MはMカウンター分周係数です。

Lカウンター

LカウンターはVCOのクロック出力を分周します。fPLLがトランスミッターPLLとして動作する場合、Lカウンターの出力はクロック発生ブロック (CGB)、x1クロックラインおよびTX PMAを駆動します。

Mカウンター

Mカウンターは、VCOのクロック出力を分周します。MカウンターおよびNカウンターの出力は同じ周波数です。整数モードでのMカウンターの範囲は8から127で、フラクショナル・モードでは11から124です。

ロック検出器

ロック検出器ブロックは、リファレンス・クロックおよびフィードバック・クロックが整数モードで位相アライメントされ、フラクショナル・モードで周波数がアライメントされていることを示します。ロック検出器は、PLLが入力リファレンス・クロックにロックされていることを示す、アクティブHigh pll_locked 信号を生成します。

デルタシグマ変調器

デルタシグマ変調器は、フラクショナル・モードでのみ使用されます。デルタシグマ変調器は、PLLがフラクショナル周波数合成を実行できるよう、Mカウンターが分周する値を経時的に変調します。

M (整数) + K/2^32 (ここでは、KはfPLL IPコアのParameter EditorのFractional乗算係数 (K) です)。

Kの有効な値は、232の全範囲の1%より大きく99%未満です。また、インテルQuartus Primeプロ・エディション内のfPLL IPコアのParameter Editorにマニュアルでのみ入力できます。

fPLLがフラクショナル・モードでコンフィグレーションされている場合の出力周波数分解能は、VCO周波数によって異なります。7 GHzのVCO周波数は、K値LSBあたり1.63 Hzのステップになります。

Cカウンター

fPLL Cカウンター分周係数の範囲は1〜512です。