インテル® Stratix® 10 LタイルおよびHタイル・トランシーバーPHYユーザーガイド

ID 683621
日付 3/03/2020
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ドキュメント目次

2.5.1.13. Gen3のリンク・イコライゼーション

Gen3モードは、データレート、チャネル特性、レシーバーデザイン、プロセスの多様性のためにTXおよびRXリンク・イコライゼーションを必要とします。リンク・イコライゼーション処理により、EndpointおよびRoot Portで各レーンのTXおよびRXの設定を調整して、信号品質を改善することができます。この処理により、Gen3リンクのBit Error Rate (BER) が10-12未満になります。

4段階のリンク・イコライゼーションの8.0 GT/sデータレートでの手順の詳細については、PCI Express Base Specification, Rev 3.0の項4.2.3を参照してください。新しいLTSSMステートであるRecovery.EqualizationはPhase 0から3を有しており、Gen3イコライゼーションを通して進行状況を反映します。リンク・イコライゼーションのPhase 2および3はオプションです。ただし、調整が発生しない場合でも、各リンクは4つのフェーズすべてを通して進行させる必要があります。Phase 2および3をスキップすると、リンク・トレーニングの速度が上がりますが、リンクBERの最適化が犠牲となります。

フェーズ0

フェーズ0の手順は以下の通りです。

  1. アップストリーム・コンポーネントはRecovery.Rcvrconfig中にダウンストリーム・コンポーネントにEQ TS2トレーニング・セットと開始プリセットを送信することにより、イコライゼーションのPhase 0に入ります。EQ TS2トレーニング・セットは2.5 GT/sまたは5 GT/sで送信することができます。
  2. ダウンストリーム・コンポーネントは、8 GT/sでRecovery.Speedを終了した後でイコライゼーションのPhase 0に入ります。トレーニング・シーケンスから開始プリセットを受け取り、トランスミッターに適用します。アップストリーム・コンポーネントはこのときPhase 1に入っており、8 GT/sで動作しています。
  3. Phase 1に移るためには、レシーバーがBER < 10-4になっている必要があります。レシーバーは、連続したトレーニング・シーケンスを十分にデコードできるようになります。
  4. Equalization Phase 1に移動するためには、ダウンストリーム・コンポーネントが2'b01にセットされたEqualization Contro (EC) ビットを含むトレーニング・セットを検出する必要があります。

フェーズ1

イコライゼーション・プロセスのPhase 1の間に、リンクパートナーはFull Swing (FS) およびLow Frequency (LF) の情報を交換します。これらの値は、TX係数の上限および下限を示します。レシーバーは、この情報を使用して次のトランスミッター係数のセットを計算し要求します。

  1. アップストリーム・コンポーネントは、2'b01にセットされたECビットを含むトレーニング・セットがすべてのレーンでキャプチャーされるとEQ Phase 2に移ります。また、EC=2'b10、開始プリカーソル、メインカーソル、およびポストカーソルの係数を送信します。
  2. ダウンストリーム・コンポーネントは、これらの新しいトレーニング・セットを検出した後でEQ Phase 2に移ります。
pipe_g3_txdeemph[17:0] ポートを使用して、トランスミッターのディエンファシスを選択します。この18ビットは以下の係数を指定します。
  • [5:0]: C-1
  • [11:6]: C0
  • [17:12]: C+1

プリセットとTXディエンファシス間のマッピングについては、TXディエンファシスのプリセットマッピングを参照してください。

フェーズ2 (オプション)

Phase 2の間に、EndpointはRoot PortのTX係数を調整します。Endpointが低い分解能に適したプリセットを使用するか、または高い分解能に適した係数を使用するかをTS1 Use Presetビットで決定します。

注: PCI Express (PIPE) 用のPHY IPコアをEndpointとして使用している場合には、Phase 2の調整はできません。PIPEインターフェイスは、Root Portが係数プリセットを決定する指針とする測定基準を提供していません。Root Portは既存の係数を反映して、次のフェーズに移る必要があります。なお、インテルデバイスが示すデフォルトのFull Swing (FS) 値は60 であり、Low Frequency (LF) は20です。

PCI Express (PIPE) 用のPHY IPコアをRoot Portとして使用している場合には、EndpointがRoot PortのTX係数を調整することができます。

調整シーケンスは以下の手順で進められます。

  1. Endpointは、Root Portによって送信されたPhase 2トレーニング・セットから開始プリセットを受け取ります。
  2. Endpointレシーバーの回路がBERを決定します。この回路はFSおよびLFを使用してトランスミッター係数の次のセットを計算します。また、この情報をTraining Setに埋め込み、Link Partnerが自身のトランスミッターに適用するようにします。
    Root Portは、これらの係数およびプリセットをデコードし、トランスミッター係数の3つのルールへの適用性チェックを行い、トランスミッターに設定を適用し、また、それらをTraining Setにして送ります。トランスミッター係数の3つのルールは以下のとおりです。
    1. |C-1| <= Floor (FS/4)
    2. |C-1|+C0+|C+1| = FS
    3. C0-|C-1|-|C+1 |>= LF

    なお、ここではC0とはメインカーソル (ブースト) であり、C-1C-1とはプリカーソル (プリシュート) であり、C+1とはポストカーソル (ディエンファシス) です。

  3. このプロセスは、ダウンストリーム・コンポーネントのレシーバーのBERが < 10-12になるまで繰り返されます。

フェーズ3 (オプション)

このフェーズの間に、Root PortはEndpointのトランスミッターを調整します。このプロセスは、逆の方向に動作するほかはPhase 2との相似です。

PCI Express (PIPE) 用のPHY IPコアをRoot Portとして使用している場合には、Phase 3での調整を行うことができません。

Phase 3のチューニングが完了すると、Root Portは、Recovery.RcvrLockに移行し、EC=2'b00 と、Phase 2で決定された最終的な係数またはプリセットを送信します。EndpointはRecovery.RcvrLockに移行し、Phase 3で決定された最終的な係数またはプリセットを使用します。

リンク調整の推奨事項

インテルは、データを正常に回復させるために、インテルStratix 10レシーバーのPreset P8係数を送信することをお勧めします。