インテル® Arria® 10 トランシーバーPHY ユーザーガイド

ID 683617
日付 4/20/2017
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ドキュメント目次

2.6.2. 10GBASE-R、IEEE 1588v2 に準拠する10GBASE-R、およびFEC 付き10GBASE-R バリアント

10GBASE-R PHY は、IEEE 802.3-2008 仕様の49 項で定義されているように10.3125 Gbps のデータレートで動作する、イーサネットに特化した物理層です。Arria 10 トランシーバーは、IEEE 1588v2 準拠あるいはFEC (順方向誤り訂正) 付き10GBASE-R といった10GBASE-R バリアントを実装できます。

10GBASE-R パラレル・データ・インターフェイスは、MAC (Media Access Control) とインターフェイスするXGMII (10 Gigabit Media Independent Interface) であり、オプションでRS (Reconciliation Sub-layer) を有します。

図 54. IEEE802.3-2008 オープン・システム・インターコネクション (OSI) を構成する要素としての10GBASE-R PHY


10GBASE-R は、単独で動作するシングルチャネル・プロトコルです。ネイティブPHY IP のプリセットを使用してトランシーバーを設定することにより、10GBASE-R PHY 機能を実装することができます。10GBASE-R PHY IP は、10 Gbps イーサネットMAC MegaCore ファンクションと互換しています。PCS とPHY の包括的なソリューションを使用して、サードパーティーのPHY MAC レイヤとインターフェイスすることができます。

以下のタイプの10GBASE-R をプリセットから使用できます。

  • 10GBASE-R
  • 10GBASE-R Low Latency
  • 10GBASE-R Register Mode
  • 10GBASE-R w/ KR-FEC

ネイティブPHY IP コアからコンフィグレーションする場合には、インテルは、プリセットを使用して適切な10GBASE-R バリアントを直接的に選択することを推奨します。

図 55. 10GBASE-R 向けトランシーバー・チャネルのデータパスとクロック

IEEE 1588v2 に準拠した10GBASE-R

IEEE 1588v2 に準拠した10GBASE-R PHY のモードのプリセットを選択すると、ハードTX FIFO とハードRX FIFO はレジスターモードにセットされます。FPGA ファブリックへのtx_clkoutrx_clkout の出力クロック周波数は、PCS とPMA のインターフェイス幅に基づきます。たとえば、PCS とPMA のインターフェイスが40 ビットであれば、tx_clkoutrx_clkout は10.3125 Gbps/40 bit = 257.8125 MHz で動作します。

IEEE 1588v2 に準拠した10GBASE-R PHY は、MAC 層とインターフェイスする有効なXGMII データが156.25 MHz で動作するように、FPGA コア内にソフトTX 位相補償FIFO とソフトRX クロック補償FIFO を生成します。

IEEE 1588 PTP (Precision Time Protocol) は、10GBASE-R PHY IP をIEEE-1588v2 モードで設定するArria 10 トランシーバー・ネイティブPHY のプリセットによってサポートされています。PTP は以下に示すようなアプリケーションの、クロックの精密な同期のために使用されます。

  • 通信における分散システム
  • 発電と送電
  • 産業オートメーション
  • ロボット工学
  • データ収集
  • 検査装置
  • 測定

このプロトコルは、イーサネットを含むローカル・エリア・ネットワークにより通信を行うシステムに適用可能です。プロトコルは、各種特有の精度、分解能、安定性のクロックを備える異種システムがグランドマスター・クロックに同期することを可能にします。

図 56. IEEE 1588v2 に準拠する10GBASE-R 向けトランシーバー・チャネルのデータパスとクロック

FEC 付き10GBASE-R

Arria 10 の10GBASE-R はオプションのFEC バリアントを有しており、これは10GBASE-KR PHY も対象としています。このオプションは、69 項で定義されている、リンク範囲の向上をもたらすコーディング、ならびに広範なセットのバックプレーン・チャネルでのBER 性能を提供します。これは、生産時や環境上の条件の変動に対応するための付加的なマージンを提供します。追加されるTX FEC サブレイヤは以下を行います。

  • TX PCS からデータを受信する
  • 64b/66b ワードをトランスコードする
  • エンコードやフレーミングを行う
  • FEC データをスクランブルし、PMA に送る

RX FEC サブレイヤは以下を行います。

  • PMA からデータを受信する
  • デスクランブルを行う
  • FEC フレーミングを同期させる
  • 必要かつ可能な場合にデータをデコードし訂正する
  • 64b/66b ワードをデコードし、そのデータをPCS に送信する

KR FEC 付き10GBASE-R プロトコルは、10GBASE-R 物理層のPCS サブレイヤとPMA サブレイヤの間に配置されたKR FEC サブレイヤです。

図 57. KR FEC 付き10GBASE-R 向けトランシーバー・チャネルのデータパスとクロック


CMU PLL またはATX PLL は、TX 高速シリアルクロックを生成します。

図 58. FEC 付き10GBASE-R サポート対応のクロック生成と分配64 ビットのPCS-PMA インターフェイス幅を使用する例を示します。